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恋愛で「正反対だからうまくいく」は本当か?339件の研究で見えた恋愛の勝ちパターンとは?

 
 

「恋愛では自分と正反対の人に惹かれる!」みたいな話を昔からよく聞くわけです。内向的な人は外向的な人に惹かれるとか、几帳面な人は自由奔放な人と相性がいいとか、支配的な人には従順な人が合うとか、そんな説ですな。映画やドラマでも、わりとよく見るパターンじゃないでしょうか。

 

では、実際の恋愛でも「正反対の相手」ほど長続きしやすいのか?ってことで、ミシガン大学のチームがナイスなレビュー(R)をしてくれておりました。これは「似た者同士のカップルは幸せになりやすいのか?」という問題について過去の研究から339件をまとめてチェックしたもので、サンプルサイズの中央値は520人で、最大では180万人規模の研究も含まれていたそうな。

 

さて、ここで研究チームが扱ったのは、「類似性仮説」と呼ばれる考え方であります。これは、

 

  • 人は、自分と似た価値観や性格、背景を持つ相手に惹かれやすく、そのほうが関係も安定しやすいのでは?

 

という考え方のことで、昔から心理学でよく言われてきた説です。恋愛系の研究では「態度や信念が似ている相手ほど魅力的に感じやすい」ってデータがめっちゃ多く出てまして、たとえば、食の好み、休日の過ごし方、お金の使い方、人生で大事にしたいものが同じ相手とのほうが上手くいくことが多いよーって報告が多いんですね。これは直感的にも納得しやすい説だと思いますが、多くの研究では、似ている相手とつきあうほうが良い理由を、以下のように推測しております。

 

  1. 自分の世界観が肯定されやすい:似てる相手だと、「自分はこう思うんだよね」と言ったときに、相手が「わかる!」と返してくれるだけで安心感が生まれる。

  2. 相互に好意を持ちやすい:価値観が近い相手には、「この人は自分を理解してくれそうだ」という予測が働く。

  3. 理解されている感覚を持ちやすい:似ている相手には「自分はこの人にわかってもらえている」という感覚が生まれやすく、長期の関係ではこれがかなり大事になる。

 

いずれも納得感がある考え方ですけども、実は心理学の世界では、「いやいや、正反対だからこそうまくいくんだ!」と主張しているグループもいるんですよ。こちらは「補完性仮説」と呼ばれていて、たとえば、一方がリード役で、もう一方がサポート役に回ることで、関係にバランスが生まれるのでは?という見方です。いわゆる「互いに補い合う関係」みたいな感じでして、確かに、これはこれでありそうな話であります。

 

では、研究チームが過去数十年の研究をまとめて何がわかったかと言いますと、

 

  • 「正反対の相手ほど関係がうまくいく!」という証拠はあまりなく、補完性仮説を強く支持するデータは見つからず。少なくとも「違う者同士だからこそ満足度が高い!」とは言いづらい感じ。
  • ところが、「似た者同士なら必ず幸せになるのか?」というと、これまた微妙だったりする。全体としては「正反対よりは似た者同士のほうが有利っぽい」ものの、「似ていれば長期的な関係満足度が確実に高まる!」と断言できるほど強い証拠ではなかった。

 

だったそうで、どちらの陣営についても、「こちらが正しい!」と言えるほどのデータはなかったんだそうな。うーん、難しい。

 

こういう結論になった理由はいろいろありましょうが、ここで面白いのが、いくつかのデータをチェックすると、

 

  • 「実際に似ているか」よりも、「自分たちは似ていると感じているか」のほうが大事っぽい

 

って傾向が見て取れるとこです。この研究では、私たちが相手に感じる「類似性」を大きく2つに分けてまして、

 

  1. 実際の類似性:年齢、学歴、収入、性格特性、生活背景などを客観的に比べて、どれぐらい似ているかを見るもの。

  2. 知覚された類似性:客観的に似ているかどうかとは関係なく、本人たちが「自分たちは似ている」と感じているかどうか。

 

みたいに分けてチェックしてみた時に、今回のレビューでは、「実際の類似性」よりも「知覚された類似性」のほうが、一貫して関係の満足度の高さと関係してたらしいんですな。要するに、一方が読書好きで、もう片方はアウトドア好きだったとしても、本人たちが「生活のリズムは合ってるよね」「お互いの感覚はわかるよね」と感じていれば、関係満足度は高くなりやすいってことっすね。逆に、プロフィール上は似ていても、「この人は自分のことをわかってくれない」「別世界で生きている感じがする」と感じていれば、関係はしんどくなるわけです。要するに、恋愛における類似性ってのは、単なるスペックの一致ではなくて、ここでもっと大事なのは「違いはあるけど、根っこではつながっている」みたいな感覚なんでしょうな。

 

なので、もしあなたがいまパートナーと趣味が違うとか、性格が違うとか、休日の過ごし方が違うとか、いろいろズレを感じることがあったとしても、それだけで「相性が悪いのでは?」と不安になる必要はなし。問題は、違いそのものではなく、「まあ違うけど、根っこでは合っている」と感じられるかなんで。

 

その意味で、パートナーとの関係を良くしたいなら、「私たちは似ているのか?」と診断するよりも、

 

「最近、相手は自分に理解されていると感じているだろうか?」
「自分は相手の価値観をちゃんと聞いているだろうか?」
「違いを責める前に、その背景を知ろうとしているだろうか?」

 

と考えたほうがよさそうであります。価値観がまったく合わない相手と無理に一緒にいる必要はないものの、「違う部分があるから相性が悪い!」と短絡するのも早計なんで、そこはご注意ください。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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