「あなたを大事にしてるフリ」で支配してくる人たちの見抜き方を調べたぞ!のメタ分析
「この人といると、なぜかいつも自分だけが損をしている気がする……」みたいな経験はないでしょうか。たとえば、
- 気づいたら、家事も雑用もほとんど自分がやってる!
- 相手は自分でできることまで頼んでくる!
- しかも断ろうとすると、「え、俺のこと大事じゃないの?」「そんなこともしてくれないの?」みたいに、こちらに罪悪感を抱かせてくる!
みたいな人のことです。こちらとしては、別に相手を嫌いなわけではないんだけど、気づけば相手の要求に振り回され、自分の時間もエネルギーも削られているという、仕事でもプライベートでもありがちなパターンっすね。
で、新しいメタ分析(R)では、このような人とのつきあいが「人生をどう悪化させるのか?」を調べてて面白かったです。
これはコネチカット大学などのメタ分析で、過去に行われた研究から16本を抽出。合計で約1万1000人分のデータをもとに、「操作的な性格や行動は、人間関係の質にどんな影響を与えるのか?」を調べております。ここでいう「操作的」ってのは、たとえば、
- 相手に罪悪感を抱かせて動かす
- 相手を不安にさせて従わせる
- 自分の利益のために相手をコントロールする
- 嘘や感情的な圧力を使う
- 「自分のほうが上だ」と思わせる
みたいな行動を意味しております。誰にでも一人は心当たりがあるんじゃないでしょうか。
でもって、すべてのデータを分析して何がわかったかと言いますと、
- 最も関係の質を悪化させていたのは「マキャベリアニズム」だった。これはざっくり言えば、「目的のためなら他人を利用してもいい」と考えやすい性格傾向である。
- さらに、感情の操作も関係の悪化と結びついていた。たとえば、「相手をわざと不安にさせる」「罪悪感を刺激する」「相手が自分を疑うように仕向ける」といった行動のことである。
だったそうな。つまり、友人でも、家族でも、近所付き合いでも、職場でも、美容師との関係みたいな薄いつながりでも、操作性が入り込むと関係の満足度は下がりやすいってことですな。めっちゃ当たり前の結論ですな。
というと、「そんなあからさまに支配してくる人なら、すぐ逃げればいいじゃないか!」と思うかもですが、実際にはそんなに簡単じゃないのが人生であります。というのも、操作的な関係ってのは、たいてい一気に始まるわけではありませんで、最初は小さなお願いから始まるもんなんですよ。たとえば、「ちょっとこれやって」「今日だけ助けて」「君ならわかってくれるよね」みたいな感じっすね。
このぐらいなら、最初は普通に応じる人も多いでしょうが、相手が操作的な人だと、その優しさをだんだん利用してくるんですよね。最初は「お願い」だったものが、いつの間にか「当然」になって、断ると「冷たい」「自分勝手」「愛情がない」と責めてきたりとか。すると、こちらは「自分が悪いのかな?」と思い、さらに相手に合わせちゃうような現象が起きまして、最後は関係の中に小さな上下関係ができるんですな。嫌ですねぇ。
操作的な人は、この不公平を見えにくくするのが上手でして、たとえば、
- 「君がやりたいからやってるんでしょ?」
- 「そんなことで不満を言うなんて器が小さい」
- 「普通の恋人ならこれぐらいしてくれる」
- 「俺だって大変なんだから」
みたいなことを言ってきて、こちらの違和感をねじ曲げてくるんですよ。すると、被害を受けている側は、「あれ? 自分がわがままなのか?」と考え始めまして、これがなかなか厄介なんですな。
では、どうすれば操作的な関係に気づけるのか?ってとこが気になりますが、一番わかりやすいサインは「罪悪感」を頻繁に引き起こされているかどうかであります。たとえば、何かを断ったときに、
- 「そんな人だと思わなかった」と言われる
- 「俺のこと好きじゃないんだ」と言われる
- 「普通はやってくれる」と言われる
- 「お前のせいでつらい」と言われる
- 断った後に、しばらく無視される
- 相手の機嫌を直すために、こちらが謝る流れになる
こういうことが何度も起きるなら、少し警戒したほうがいいでしょうな。もちろん、誰でも疲れているときに嫌な言い方をしちゃうことはあるものの、それがパターン化してたら危険信号だとお考えください。
そのうえで、操作的な関係から抜けようと思ったならば、
- 自分はこの関係で、だいたい何%ぐらい与えていて、何%ぐらい受け取っているか?
をざっくり見積もるようにしてくださいませ。たとえば、
- 家事や雑用はどちらが多くやっているか
- 感情的なフォローはどちらが多いか
- 謝るのはいつもどちらか
- 予定を合わせているのはどちらか
- 相手の都合で自分の予定を変える頻度はどれぐらいか
- 自分の要求はちゃんと聞いてもらえているか
このへんをチェックしてみて、「8割ぐらい自分が負担しているな……」と感じるなら、具体的な対策を取るべきだと申せましょう。
ちなみに、そうなると操作的な相手とはすぐ縁を切るべきなのか?ということになりますが、理想を言えば、強い操作性がある相手からは距離を取ったほうがいいでしょうな(これはサイコパスやナルシシストにも言えることですが)。特に、暴力、脅し、経済的支配、孤立化、監視などがある場合は第三者のサポートも受けつつ、離脱をお考えください。
ただし、現実にはすぐ離れられない関係もありまして、親族や金銭的な事情などがあると「じゃあ明日から終わりで」とはいかないのが難しいところでしょう。なので、その場合は、まず関係の中にある不公平を言語化するのが先決になりましょう。
ポイントは、相手の人格を責めるのではなく、具体的な行動と負担を伝えることでして、たとえば、
- 「最近、家事と用事の負担がかなり私に偏っている感じがする。私はこのままだと疲れ切ってしまうので、週に何回かはあなたにも担当してほしい」
- 「断ったときに“愛情がない”と言われると、私は自分の希望を言えなくなる。お願いを断ることと、あなたを大事にしていないことは別だと思っている」
- 「私はこの関係を続けたいけど、自分の時間や判断まで失う形では続けられない」
みたいな感じっすね。ここらへんの良い言い回しについては、拙著「最強のコミュ力のつくりかた」をご参照あれ。大事なのは、「私はあなたを攻撃したいのではなく、この不公平な構造を変えたい」ってのを伝えることであります。まぁ、それでも操作的な人が素直に変わってくれるとは限らないんで、「話せばわかる!」みたいな期待は厳禁ですけども。どうぞよしなにー。


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