なぜ、あなたは実際よりも忙しいと「勘違い」してしまうのか?
「あなたの「忙しさ」は幻想である」の続きです。
おさらいしますと、ブリジッド・シュルテ「忙しすぎ!(Overwhelmed)」という本によれば、現代人の自由時間は過去40年間で増えており、多くの人が「忙しい」と感じているのは実は錯覚だった、というお話でした。
では、なんで現代人はやたら忙しさを感じているのか? 社会学者のジョン・ロビンソンいわく、その原因は、ズバリ「マルチタスク」であります。 テレビを見ながら食事をしたり、メールチェックをしながら仕事をしたり、歩きスマホをしたりなど、俗に言う「ながら作業」ですね。
マルチタスクが集中力を大幅に損なうことは、当ブログでも「「いますぐマルチタスクを止めよう!」という気になるインフォグラフィック」などで紹介したとおり。マルチタスクで作業を行うだけで、IQが15ポイントも下がることが知られております。かく言うわたしも、今年の目標はシングルタスクです。
社会学者のジョン・ロビンソンいわく、
「作業が飽和状態なんです。あるタスクから別のタスクへ何度も注意を切り替えると、そのたびに時間にたいするプレッシャーが増加します。1日に行う作業について考えるとき、わたしたしは1日を1つの固まりとしてとらえがちです。しかし、母親を対象にした研究では、彼女たちの活動は絶え間ない休止のくり返しでした。これが、時間にたいする満足感を損なっていくんです」
とのこと。マルチタスクのせいで時間が細切れ状態になり、1つの流れとしてとらえられなくなるせいで、つねに時間に追われている錯覚が生まれるらしい。
現代人がマルチタスクにハマってしまう原因の1つには、「忙しい=有能」ってな社会的なすり込みがあるのも大きいそうで、燃えつき症候群で心療内科にかかった患者の大半は、この図式にとらわれているんだそうな。
燃えつき症候群の治療をおこなった心理学者たちは、患者たちが、忙しければ忙しいほど有能で、知的で、成功者で、尊敬され、うらやましがらるとの思い込みを捨てきれなかったと報告している。
うーん、なるほど。忙しい自慢をしたあげくに自爆していくケースは、よく聞きますからねぇ。まぁマルチタスクに関しては、スマホとネットの進化もかなり大きいようには思いますが。
そんなわけで結論としては、忙しさから抜け出すためには、小手先の時間管理テクニックを使ってもムダ。メールや電話はオフにして、ひたすら今やるべきことに専念するのが大事、といった感じでしょうか。わたしも肝に銘じて暮らしていきたいところです。