ダイエットにはげむ前に、まずは「自分へのやさしさ」を持とう!という話
「もっと痩せたいんです」といったご相談をよく受けるんですが、くわしく話を聞いてみると、すでにBMIが20前半だったりして「それ以上は痩せちゃアカンでしょう」と思うケースが意外と多め。こうなってくると、ダイエット法よりもメンタル面の問題でして、自分の身体イメージを受け入れる方法を考えた方が、いろいろと楽しく過ごせるかと思います。
で、そんなことを考えていたら出てきたのが、摂食障害と身体イメージの関係について調べた論文(1)。153人の女学生を対象に、彼女たちの体重や自尊心のレベルなどを調査したもので、その結果、セルフコンパッションがある人ほど摂食障害がなく、より良い食生活を送っていることがわかったんですな。
セルフコンパッションは、直訳すると「自分へのやさしさ」みたいな意味。ここ十数年ほど、心理学の世界では「自尊心よりもセルフコンパッションのほうが大事かも!」と言われつつある重要な概念であります。
研究者いわく、
体重の重さとは関係なく、「自分へのやさしさ」が高い女性は、より良い身体イメージを持っており、体重・体型・食事について悩むことが少なかった。
ものごとを受け入れる能力の高さは、とても大事な要素だ。たとえ自分の体型が気に入らなかったとしても、その不完全さを認めて自分にOKを出す手助けをしてくれるのだ。
とのこと。そもそも、ダイエットは精神的負担が大きいので幸福感が減っちゃうって話もありますし、体型を気に病んで摂食障害になるよりは、自分にやさしくしてあげたほうが幸せなのは間違いないところです。
ときに、当ブログでは「自信を持とう!」って発想をケナすことが多く、実際、そう簡単に自信はつかないことも多くの実証研究であきらかになっているわけですが、幸いにも「自分へのやさしさ」はトレーニングで鍛えられるっぽい。
具体的には感謝の気持ちを鍛えるのが大事で、 過去に紹介した「三行日記」やデイビッド・ハミルトンの「『親切』は驚くほど体にいい!」の巻末に付いてる「誰でもできる親切習慣リスト」を実践してみるとよさげです。ほかにも、「脳には、自分を変える『6つの力』がある」がすすめる「思いやりのイメトレ」や仏教の世界で行われる「慈悲の瞑想」なんかもアリ。
とにかく、自分にたいして好意的な態度を持って、決して厳しい自己批判をしないようにメンタルを鍛えるのが重要な感じです。もちろん、その際に「ああ、自分は自分にやさしくない!」とか考えちゃうと意味がないので(笑)、あくまでゲーム感覚でやってみたらよいかと思います。
credit: Rosana Ayza Fotografía via FindCC