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「怒ると健康に悪い!」は日本では通用しない

Anger

 

怒ると健康に悪い!って話はなかば常識のようですが、「日本では怒りやすいくせに健康な人が多い」ってデータ(1)が出てまして、これがかなりおもしろい。

 

 

この論文は、昔から日本人とアメリカ人の違いを研究してきた、ミシガン大学の北山忍教授によるもの。ウィスコンシン大学が行った国際的な健康調査を使って、アメリカ人と日本人のデータをくらべたんですね。サンプル数はそれぞれ1,400人ぐらい。

 

 

具体的に比較した数値は、

 

  • 参加者が怒りを表現した回数(「ドアをたたきつけた」とか「他人を罵倒した」とか)
  • 体内の炎症レベル
  • 心肺機能の高さ

 

などなど。すると、

 

  • 怒るアメリカ人ほど健康を崩している
  • 怒る日本人ほど健康になっている

 

という真逆の相関がみられたんだとか。もちろん、年齢や喫煙といった変数はちゃんと調整されております。

 

 

北山教授いわく、

 

怒りが病気をもたらすという決まり文句は、「西洋文化」のなかでだけしか正しくないのかもしれない。西洋においては、怒りの感情は、フラストレーションや貧困、社会的地位の低さなどの指標として機能する。いずれも健康を損なう可能性を持つ要素だ。

 

とのこと。その一方で、東洋では、怒りの感情は権力や地位の高さの表現として使われるケースが多いので、健康を損なう方向に行かないんだそうな。「俺を誰だと思ってるんだ!」みたいな怒りのことですかねぇ。うーん、おもしろい。

 

 

もちろん、これは「日本人は怒ったほうが健康になれる!」ってな意味ではなく、「もともと健康を崩しやすい環境にいるアメリカ人ほど怒りを表現しがち」って側面が大きいのかと思います。あくまで文化によって「怒り」の機能が違うって話ですね。

 

 

さらに教授いわく、

 

この研究のポイントは、怒りの表現が、さまざまな要素によって左右される複雑な現象だということ。その多くは文化の差によるものだ。怒りと健康のつながりを完全に理解するためには、こういった文化の違いを考慮にいれなければならない。

 

とのこと。いずれにせよ、ストレスが体内の炎症を起こすことは間違いないので、できるだけ怒らずに生きていきたいもんではありますが。

 

 

credit: ~deiby via FindCC


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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