糖質制限ダイエットの理屈がおかしいことがほぼ確実になった件
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当ブログでは、糖質制限ダイエットに対して「確かに体重は減るけど背景の理屈はおかしい」ってスタンスなんですが、わりと決定的かなーと思ったのが2014年に出たばかりの論文(1)です。
糖質の量は体重の減少とは関係がない
タイトルを超訳すると「糖質制限 VS. バランス食 勝つのはどっちだ!」といった感じ。まったく同じ量のカロリーをとったとき「本当に糖質制限ダイエットのほうが痩せるの?」って疑問について調べた系統的レビューであります。系統的レビューとは、過去に行われた実験データを集めて内容をくわしく調査する手法のこと。複数のデータをまとめて大きな結論を出せるので、科学的な証拠としては一級品だとお考えください。
言わずもがな、糖質制限ダイエットは「肥満のもとはインシュリンだ!」って説がベースなんで、たとえば、
- 1,500kcalの糖質制限ダイエット
- 1,500kcalの一般的な食事
をくらべた場合でも、糖質制限ダイエットのほうが痩せないとおかしいわけですね。
で、その結果は明確で、
2年にわたって肥満の成人を追跡したが、糖尿病の有無にかかわらず、糖質制限ダイエットと等カロリーのバランス食(カロリーは同じだが炭水化物の割合が多い)のあいだには、体重を減らす効果においても、心疾患の発症率についても、ほとんど何の差も見られなかった。
とのこと。つまり、糖質の量は体重の減少とは関係がないんだ、と。これは江部先生とか大変なんじゃないでしょうか。
スーパー糖質制限でも体重の減少とは関係ない
と言いますと、「いやいやスーパー糖質制限なら差が出るんだ!」みたいな反論もありましょうが、もちろんそのあたりも考慮に入っております。たとえば、- 1,500カロリーのうち糖質量が4%と40%の食事をくらべても、体重の減り方は同じだった(2)
- 4週間にわたって糖質量が0%と72%の食事(総カロリー1,500kcalのドリンクを使ったらしい)の比較をしたところ、インシュリンの分泌量は大きく変わったにも関わらず、体重の減り方は同じだった(3)
なんて実験がありまして、どれだけ糖質をカットしようが体重の減り方とは関係ない模様。
では、なんで糖質制限で体重が減るのか?
もちろん、一方では「ちゃんと糖質制限ダイエットで体重が減ったよ!」って論文もありまして、いろいろと成果を出しているのも間違いのないところではあります。ただし、これらの実験は、いずれもカロリー摂取量の変化を考慮に入れてないので、結局のところ「糖質制限ダイエットが効くのって摂取カロリーが減ったからじゃない?」という、ごく普通の結論に行き着くしかない感じ。そのメカニズムとしては、以前に「パレオダイエットで自然に食欲が減る3つの理由」でもご紹介した、
- タンパク質の摂取量が増える
- 代謝にダメージを与える食事が減る
- ホルモンバランスが正常になる
といったあたりがデカそうであります。いろいろ見てると、タンパク質の摂取量が増えたのが最も大きな原因じゃないかという印象ですが。
まとめ
そんなわけで、肥満の原因はインシュリンだって説に関しては、かなーり眉にツバをつけつつ接するのがよさげ。現時点で「糖質制限ダイエット」を正しく言い換えるなら、- 高タンパク質ダイエット
- 自然に食欲が減りやすいダイエット
- 結果的に摂取カロリーが減ってるダイエット
みたいなほうが実情にはあってるのではと思った次第です。