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心理学的に正しい「説得力を2倍に高める」ための決めゼリフ

Double

ここんとこ、ポップ心理学系の本で鬼のように引用されているのが、2013年にウェスタン・イリノイ大学から出た論文(1)。






「自分の提案を上手く飲んでもらうにはどうすればいいの?」って疑問について調べた研究で、過去に行われた42の研究から22,000人の情報をメタ解析した、かなり精度が高いデータになっております。その結果、ある言葉を使うだけで、相手が申し出を飲む確率が2倍にはね上がることがわかったそうな。


直近で読んだ本では「Hooked ハマるしかけ」にも同論文が引用されてまして、該当する部分を抜き出しますと、

フランスの研究の1つに、見知らぬ人にバスの運賃を求められた際に渡す金額は、ある決まった言いまわしによって影響されるのかということを調査したものがある。その調査で研究者達は、人の渡す金額が2倍になる非常に簡単で効果的な方法を発見したのだった。

 

 

この言いまわしは、バス代の額に影響を与えるだけでなく、慈善寄付や、ボランティア活動への参加を増やすことにも効果があった。(中略)

 

では、研究者達が発見した魔法の言葉はなんであろうか。それは、「それを受けるも、断るもあなたの自由です」。


って感じ。別に言いまわしは何でもよくて、とにかく相手の自由さを強調するのがポイント。「もちろん義務や強制ではありませんよ」って言い方でも同じ効果があるらしい。


この背景には、心理学でいう「リアクタンス理論」がありまして、ざっくり言うと「人間は自由を失う可能性に対して反発心がわきやすい」って話です。たとえば、Amazonでよくみる「1点在庫あり。ご注文はお早めに。」って表記もリアクタンスの応用でして、「ここで買っとかないと、あとで買う自由がなくなる!」って気持ちにさせてるわけですね。それぐらい人間は自由に対して敏感。


というわけで、対面セールスはもちろん、簡単な頼みごとをする場面でも使えそうな小ネタでした。そう考えると、「信じるか信じないかはあなた次第です」ってな都市伝説の決めゼリフにも、それ相応の効果はあるのかもしれませんな(笑)


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。