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貧しい人の隣に引っ越すと、なぜか肥満が加速してしまうらしい

Grocery money

「年収は『住むところ』で決まる」なんて都市経済学の本がありますが、今度は「肥満も『住むところ』で決まる」ってデータが出ておりました(1)。

 






これはテキサス州の健康データを使った研究で、およそ3,000人の住民たちの体重や年収の変化を7年にわたって追いかけたもの。ここに、米国勢調査の基準をもとに作った「隣人が貧乏かどうか指数」(NDI)を当てはめまして、肥満レベルとくらべたんですね。


その結果は、貧しい人の隣に引っ越してきた人ほど、そのあとで体重が増えていく確率が高いというもの。「隣人が貧乏かどうか指数」が1ユニット上がるごとに、およそ0.64kgほど体重の増加が見られたんだそうな。また、この効果は住む期間が長くなるほど大きくなり、貧しい人の隣で暮らす年数が4年を超えると、「隣人が貧乏かどうか指数」1ユニットごとに、およそ0.85kgほど体重が増えていくらしい。


こういった現象が起きる理由はいまのところ不明。一瞬、「貧しい地域に越してきた人も同じように貧しいので、食生活が悪いからじゃないの?」とか思ったんですが、データをみたら当然のように年収や年齢といった変数は調整されておりました。つまり、収入がある人でも、貧しい人の隣に住む始めると太っちゃう可能性があるんだ、と。


いちおう、論文には「隣人の食習慣を知らずにマネしちゃう説」や「ストレスで太っちゃう説」などがあげられてますが、特定は難しそうな感じ。まぁ、最近も「大食いの人と食事をするだけでも食欲は暴走する」って話がありましたんで、それぐらい環境は大事って話なのかもしれませんが。


研究者いわく、

この研究は、貧しい人の影響が、体重を増やすリスクファクターの1つだとあきらかにした。多くの公共機関は、コミュニティを使った体重管理の方法を推奨しているが、この結果に照らせば、効果が薄い可能性も大きい。


とのこと。なんか、地味に貧乏人に対してムチ打ってる気もしますね(笑)


もちろん、これはアメリカのデータなんで、面積がせまい日本でも当てはまるのかは不明。都道府県別の肥満率(2)とかを見てると、とくに貧しさとの関連もなさそうですけどもねぇ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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