世界最大の寺社フェス「向源」に行ってきたぞ
港区の増上寺で開催された「向源」って仏教イベントに行ってまいりました。ここ数年ゴールデンウィーク中にやってる寺社フェスで、座禅教室があったり能楽のワークショップがあったりと、宗派を超えていろいろやっておられる模様。
正門を抜けて左手に進むとフェス飯ゾーン。仏教イベントらしく、京料理すまやのおばんざいやキョウヤ クチーナ イタリアーナの京野菜ニョッキやら、よそのフェスとは違った感じの料理がならんでおりました。とても心ひかれましたが、いまは体を絞っているところなので涙をのんで断念。
さらに進むと無料でお坊さんと話せるコーナーが。1回15分ですが、涙を浮かべているお客さんもいらっしゃいました。
続いて物販。仏像ガチャガチャがズラリ。
絵馬や七福神のガチャガチャもあったりとか。
で、まずは大広間で開かれた「仏教プラクティス」と「坐禅 公案禅入門」へ。なにしろ増上寺の大広間に入れる機会がレアなので、まずはそこに感動いたしました。
仏教プラクティスは、真言宗の阿字観と臨済宗の坐禅を体験して、宗派ごとの違いを味わってみるというもの。担当の若いお坊さんたちのトークがお上手で、「ネットで阿字観を検索したらアジアン・カンフー・ジェネレーションばかり出てきまして…」といった仏教ジョークが冴えておりました。この講座は非常におもしろかったので、詳細は別エントリで。
さらには、増上寺の講堂で開かれた「禅と脳科学」講演へ。「脳科学から見た祈り」の中野信子さんと「週末 禅僧ごはん」で有名な吉村昇洋さんの対談であります。
話題は多岐にわたっておりましたが、個人的におもしろかったのは、
- 科学者たちの多くは、自らの研究で得た成果を日々の暮らしに活かせずに苦しんでいる。その点、実践を重視する仏教の視点は大事。
- 科学は主体と客体を切り離すパラダイムなので、新しい技術を生み出すのは得意だが、ヒトの幸福をあつかうのは不得手。その点、主体の体験を重視する仏教は大事。
- 瞑想を行うと、脳の位置モニタリング機能がスリーブ状態に入ることがわかっている。そのため、スピリチュアル系でいう「至高体験」の感覚が生まれるが、そこにとどまらずに「路傍の石のような自分」を自覚するのが大事。
といったところ。わたしもサイエンス大好きっ子なんで、理論と実践の食い違いには日ごろから悩まされております。
最後に講堂で「声明公演」に参加。日蓮宗、天台宗、真言宗の仏教音楽をまとめて楽しめるぜいたくなイベントになっております。天台宗のお坊さんたちの衣装がカラフルで、笑点を思い出しました。
流れとしては、まずは日蓮宗のリズミカルな木剣加持があり、続いて真言宗の太鼓にあわせて天台宗の声明がのっかる流れ。とにかく真言宗のリズムがすごくて、最後のほうはメタル系のドラミングに近いぐらいの勢いでビビりました。こんなにビートの効いた般若心経は初めて。まさに太鼓の達人。
で、外に出たら増上寺の境内でジャズバンドが演奏しておられました。これまた超お上手。
そんなわけで、「向源」は、「世界最大の寺社フェス」の名に恥じぬ力の入ったイベントでした。浄土宗の総本山で真言宗や臨済宗の講座が開かれるなんて、まったく良い時代になったもんです。来年も行ってみたい。