目標を達成しやすくするための科学的に正しい「記録」の付け方
世にモチベーションアップの方法は数あれど、科学的には「とにかく前に進んでる感」を作るのが一番大事。そのためには、目標までの進歩を記録するのがベストだと言われております。
まぁ自己啓発の世界とかでも昔から聞くアドバイスなんですけども、実際のところは「本当に記録って目標達成に効くの?具体的にはどう記録すればいいの?」ってあたりをちゃんと調べた研究はなかったりします。そのせいで、自分の経験をもとに適当なことを言ってる人も多かったんですね。
あらためて「記録の凄さ」について調べてみた
が、近ごろシェフィールド大学から出た論文(1)は、あらためて「記録の凄さ」について調べたナイスな研究になっております。
これは過去に行われた138件の実験から、19,951人分のデータを統計処理したメタ解析。大量のデータをベースにして、より正確な結論を導き出したわけですね。
今回の実験では、おもに健康と記録の関係にポイントを置いてまして、
- 減量
- 禁煙
- 食生活の変化
- 高血圧の改善
などのゴールが達成しやすくなるかを特に調べた模様。
記録の回数が多いほど成功の確率は高くなる
その結果は、
- やっぱりゴールまでの進歩を記録したほうが、目標達成率は断然に上がる
- それも、記録の回数が多ければ多いほど成功の確率は高くなる
という感じだったらしい。あらためて「記録の凄さ」に対して科学のお墨付きが出た形であります。
研究者いわく、
ゴールまでの進歩をモニタリングする行為は、目標設定と目標達成のどちらにおいても、極めて重要なプロセスだと言える。進歩を記録することで、ゴールが具体的な行動に変化するからだ。
とのこと。
記録は最終結果にフォーカスしないと意味がない
ただし、いくつかの注意点もありまして、
- 行動を変えたいときには、自分の取った行動だけを記録しないと効果がない
- 結果を出したいときには、結果に向かう過程のみを記録しないと効果がない
って傾向もハッキリ現れたらしい。たとえば減量を目指す人に「毎日の食事を記録しなさい!」と指示した場合、多くの人がダイエットに失敗しちゃう傾向が強いんだそうな。
もし食事の習慣を変えたいなら、食べた物を毎日記録すればいい。しかし体重を減らすのが目的の場合は、体重計の記録に集中すべきだ。
とのことで、とにかく最終結果にフォーカスしたほうがいいらしい。
つまり、
- 貯金を増やしたければ、貯金額の増減だけを記録
- タバコを止めたければ、タバコを吸わなかった日数だけを記録
- 運動を続けたければ、ジムに行った日数だけを記録
といった感じでシンプルな書き方に徹したほうが良いわけですね。目標に向かうときは、不安のせいでつい大量の記録を付けがちですけども、これは楽でいいっすね。
さらに研究者いわく、
他にも記録の効果をアップさせる方法がある。特におすすめなのは、他人に記録の報告を義務づけるか、または記録を公開してしまうことだ。
とのこと。このへんは行動経済学の「誘引バンドル」と同じ結論ですね。Withingsの体重計みたいに、自動で体重をSNSに投稿してくれる商品を使うのもアリでしょうな(笑)