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記憶力を高める手軽なテクニック、それは「セルフイマジネーション」

Brain

なにせわたしは記憶力がないもので、よく記憶術に関する話を書いたりしております。


で、近ごろチェックした論文(1)では、「記憶力を3倍にする方法!」について研究されていたおもしろかったです。


これはアリゾナ大学の実験で、脳損傷の患者さん15名と、健康体の男女15名を対象にしたもの。


実験では、全員に以下の5パターンのテクニックを使って、24種類の形容詞(優しいとか美しいとか)を記憶してもらったらしい。

  1. リズムにのせて形容詞を覚える
  2. 形容詞の意味をじっくり考えて覚える
  3. 形容詞の意味を自分に当てはめてみる(自分の性格は「優しい」より「おとなしい」だな…みたいな)
  4. 自分が過去にその形容詞を実践したときのことを思い出して覚える(他人に「優しく」した時のエピソードとか)
  5. 自分がその形容詞を実践している様子を想像する(他人に「優しく」してあげてる自分をイメージ)

その結果は、5番めの「自分が実践している様子をイメージ」の圧勝。単語テストを行ったところ、「リズムにのせて覚えた」場合は平均が3.2ポイントだったのに、自分をイメージしたら9.3ポイントにはね上がったらしい。


この傾向は、脳に損傷を負っていても健康体でも、どっちのグループでも同じ。また、基本的には「自分」をからめたテクニックのほうが成績は高く、最低だったのは「リズムにのせて覚える」パターンだったらしい。


研究者いわく、

多くの研究により、なにごとも「自分」にからめて記憶したほうが物覚えがよくなることがわかっている。いわゆる「自己参照効果」だ。

とのこと。この実験は単語の記憶に関する話ですが、たとえば「自分が覚えたいことを他人に解説している様子をイメージする」みたいに応用していけば、どんなことにも使っていけそうですな。


ちなみに、過去には「人に向かって音読する」って方法もかなり良い成績を出してるんで、いっしょに使っていくといいかも。他人に解説してる姿をイメージしながら声に出していくとか。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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