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結局、味の素は太るのか?問題

Ajinomoto

 

味の素が食べ過ぎを引き起こす? 

 「味の素ってダイエットに良くないんじゃない?」って話が昔からありまして。なにせ味の素を使うと何でもおいしくなっちゃうんで、食べ過ぎが促進されちゃうんじゃないの?という理屈であります。

 

 

確かに「脳への快楽が多い食事」は肥満の大きな原因のひとつ。その点で、味の素が食べ過ぎを引き起こす可能性も高そうな感じがするわけです。

 

 

そこで参考になるのが、「味の素と食欲の関係」について調べた最近の論文(1)であります。

 

 

これはサセックス大学の実験で、27名の男女を対象にしたもの。平均のBMIは23ぐらいで、肥満体の人ははぶいたらしい。

 

 

実験では、参加者を以下の4グループにわけたんですな。

 

  1. 126kcalのニンジンスープを飲む
  2. 味の素を入れた126kcalのニンジンスープを飲む
  3. 311kcalのプロテインスープを飲む
  4. 味の素を入れた311kcalのプロテインスープを飲む

 

そのうえで全員の食欲の変化をチェックし、さらに45分後に一皿450kcalのパスタを「好きなだけ食べていいよ!」と支持したらしい。味の素の有無と摂取カロリーの差によって、食欲に差が出るかどうかを調べたわけですね。

 

 



時間によって味の素の作用は変わる

実験は4回ほど行われまして、その結果は、

 

  • 事前に低カロリーのスープを飲んだほうが、総摂取カロリーは減る(平均でマイナス94kcal)
  • 味の素が入ったスープを飲むと、その後の摂取カロリーはやや減る(平均でマイナス38kcal)

 

って感じ。ほんの少しではありますが、味の素には総摂取カロリーを減らす効果があるみたい。

 

 

また、食欲の変化については、

 

  • 味の素を口にした直後は食欲が激しくアップする!
  • ただし30分ほど過ぎると、逆に味の素を口にしたほうが食欲は減る!

 

という結果だったそうな。味の素は短期的に食欲を上げるものの、より長い目ではみれば食事の満足感を上げる作用があるらしい。

 

 

こういった現象が起きる理由はよくわからんのですが、うま味成分(グアニル酸やイノシン酸)はタンパク源に多くふくまれてるケースが多いのが原因かも。もともとタンパク質には食事の満足感を増す作用があるので、うま味成分でも満腹感のシグナルを得られるように体が適応したんじゃなかろうか、と。まぁ推測ですけど。

 

 

というわけで、このデータから教訓を引き出すと、

 

  1. メインの食事をする前に低カロリーのスープを飲むべし!
  2. スープにはしっかりと出汁を入れる(味の素でも可)べし!
  3. 食事時間は30〜45分より多く取るべし!(じゃないと食事の満足度が上がらないので)

 

みたいなとこでしょうか。また味の素とダイエットの関係については、

 

  • 味の素を使った料理を早食いすると太りやすいかも!(短期的に食欲が増すので)
  • ただし、味の素を使った料理をじっくり味わえば逆にダイエットに役立つかも!(食事の満足度が上がるので)

 

といった感じ。やっぱ早食いはよろしくないですなぁ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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