結局、オメガ3は何に効いて何に効かないのか?
こないだ「オメガ3は両刃の剣!」って話をチラっと書きました。
なにせ、フィッシュオイルは「体に良い!」ってデータがやたら多いいっぽうで、「体に害が!」ってデータも少なくないんですよね。これぐらい相反した実験結果が出てるサプリって他にないんじゃないかと。
というわけで、ここでは現時点で、オメガ3には何ができて何ができないのかをまとめてみようかと。
オメガ3はコレステロールに効くの?
オメガ3とコレステロールに関してもっとも有名なのは、たぶん2012年に行われた大規模な実験(1)かと。12,500以上もの参加者に1日1gのフィッシュオイルを飲んでもらい、なんと6.2年もの経過をみた超労作であります。
その結果は、残念ながらオメガ3にとって不利。プラシーボとくらべて特に目立った効果は得られず、心疾患の死亡率には変化がなかったそうな。うーん、残念。
が、いっぽうで2015年に行われた最新の実験(2)では、フィッシュオイルで中性脂肪と悪玉コレステロールが減った!って結論が出てたりもします。
これは102名の男女を使った実験で、1日3gのオメガ3を90日間飲んでもらったもの。プラシーボにくらべてHDLとLDLの比率がハッキリと改善し、脂質の酸化ストレスも減ったそうな。
ただし、この実験では、フィッシュオイルに加えて1日に10mlのオリーブオイルも飲んでるのがポイントだったりします。ご存じのとおりオリーブオイルは高い抗酸化パワーを持ってるんで、おかげでオメガ3のデメリットが相殺された可能性は大。正しくオメガ3を使うにあたって、まことに示唆的なデータかと思います。
オメガ3は癌に効くの?
オメガ3と発がんリスクについては、2015年に「前立腺がん」に関するメタ分析が出ております(3)。14,897名分のデータを精査してまして、科学的な信頼度はわりと高め。
その結果は、
- オメガ3で前立腺がんのリスクは減るよー
- ただし、その影響レベルはかなり少ないけどね
ぐらいの感じ。おそらく癌に効く可能性はあるものの、その効果は低そうであります。
他の癌については2012年の実験(4)が有名で、約2,500名の男女に1日600mgのフィッシュオイルを4年にわたって飲み続けてもらったところ、
- 男性の発がん率には変化なし!
- 女性は発がん率がやや上がった!
って結果だったんですな。やはり上のデータとは食い違いが出ております。うーん、難しい。
オメガ3は心疾患に効くの?
オメガ3と心疾患についても、やはり解釈が難しいところです。
たとえば20件のデータを精査した2012年のメタ分析(5)では、「フィッシュオイルは心疾患に効果なし!」って結論。心疾患の予防に使うのはオススメできないとのことであります。
が、いっぽうで2013年のメタ分析(6)では、11件のランダム化比較試験を調べたうえで「フィッシュオイルには心疾患の予防効果があるよ!」との結論。見事に食い違っております。
たんにデータ数だけを見てみると、「まぁフィッシュオイルは心疾患に良いとも悪いとも言えないかなー」ぐらいの印象。あんま期待しないほうがよさげです。
まとめ
そんなわけで、いろいろ見てきましたけども、ざっくり結論を言えば、
- オメガ3に良い効果があるのは間違いないが、いっぽうでリスクも見逃せない
って感じでしょうねぇ。まぁ、こんなことで悩むぐらいだったら「オメガ3は魚だけで補う!」と決めちゃったほうが精神衛生にはいいかも。
とはいえ魚が嫌いだったり、普段から外食が多い人の場合はオメガ3サプリが役立つ可能性は大。その場合は、
- オメガ3を使うなら、くれぐれも抗酸化機能をもった成分と一緒に飲むべし!
- 1日の上限は2gまでに限るべし!
ってアドバイスが有効かと思います。それでは、どうぞよしなに。