「眠れない!」を解決するコツは、できるだけ寝ようとしないこと
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どんな人でも不眠には襲われる
こないだ米国睡眠学会の定例会がありまして(1)、そこで「不眠を防ぎたいならムリに寝ようとするな!」って発表(2)が出てたのがおもしろかったです。これはペンシルバニア大学のリサーチで、健康な男女539名に「睡眠日記」をつけてもらい、眠りの質の変化を6ヶ月にわたってチェックしたんだそうな。そこでまずわかったのは、
- どんなに良く眠れている人でも、およそ20%は短期的な不眠(急性不眠)を経験する
- 急性不眠を経験した人のうち、およそ50%が長期的な不眠(慢性不眠)に移行する
みたいな感じ。どんなに寝付きがいい人でも眠れなくなっちゃうケースは多く、そのうち半分は重度の不眠に進んでしまうんだ、と。
短期的な不眠は人間にとって自然なこと
ここでいう「不眠」の定義は、- 急性不眠:寝付けない/眠くならないことが週に3日以上あり、その状態が2週間〜3カ月続く
- 慢性不眠:上の状態が3カ月以上続く
といったところ。どちらも眠れない点では同じですが、この区別がかなり大事なんだそうな。
急性不眠は、人類にとって自然な現象だろう。人間は危機感をおぼえると「逃走/闘争反応」が起き、交感神経が活発になって眠れなくなる。午前3時だろうが徹夜明けだろうが、自分の人生が危険にさらされたら、眠るわけにはいかない。これは進化における正しい適応だ。
いっぽうで慢性的な不眠は、体に悪いと言うレベルの話ではない。慢性的な不眠により人生が削られてしまうことは、あらゆるデータで示されている。
急性不眠は自然なことなので心配しなくてもいいけど、慢性になると一気にヤバくなってしまうわけですね。良いストレスと悪いストレスの区別と似てますな。
ムリに寝ようとするから眠れなくなる
で、ここで大事なのが、「急性不眠から慢性不眠になっちゃう人とならない人の違いはなに?」って問題。データによれば、慢性不眠になりやすい人の特徴は、- 足りない睡眠をムリに補おうとしがち
なんだそうな。どういうことかというと、
- 何らかの不安で急性不眠になる
- 「睡眠が足りない!」と思ってしまう
- 遅くまで寝床に入ったり昼寝をする
- それでも「眠れない自分」に対して不安を覚える
- 脳のなかで「睡眠=不安」の図式ができあがる
- 慢性不眠に!
みたいな感じです。眠れないのに強引に寝ようとすることで、脳の不安感が増していくわけですな。
つまり慢性不眠の予防策としては、
- 急性不眠は人間にとって普通のことだから心配しない
- 急性不眠の段階ではムリに寝ようとせず、眠れないなりに起き続けていればOK
を心がけるのがベター。短期的な不眠に対して抵抗をすると、逆に重度の不眠につながっていく可能性が高いので要注意であります。
もし、いったん慢性不眠になっちゃったときは、「刺激制限療法」が有効かと思います。脳の不安を鎮めるために開発されたメソッドなんで、急性から慢性に移行した人には効果的なはず。お試しあれー。