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どんなに絵心がなくても、アート制作をすればストレスが激減するみたい

Arttherapy

 

 「アートでストレス解消!」って実験(1)がおもしろかったんでメモ。

 

 

これはドレクセル大学の実験で、39名の男女を対象にしたもの(年齢は18〜59歳)。全員に紙とペン、粘土、コラージュ素材などをわたして、「なんでもいいから好きなものを作ろう!」とお願いしたんだそうな。

 

 

すると45分後の結果は、

 

  • 約半数が「なんとなくストレスが減ったかなー」と感じたが、残りの半数は「特にストレスに変化はなかった」と報告した
  • ところが、体内のストレスホルモン(コルチゾール)を調べてみると、およそ80%は分泌量が激減していた
  • 中年よりも若者のほうがストレスホルモンが減る効果は高い
  • アートの種類はストレス低下の効果とは関係がない。絵でもコラージュでも、どんなタイプのアートでもストレスは下がる
  • ただし、逆にストレスホルモンが増えた人が少数だけいた

 

みたいな感じ。つまり、アートの効果は主観的には大したことがないんだけど、体内では確実にストレスが減っているんだ、と。無意識のうちに、確実にストレスのレベルが下がってるみたいですね。

 

 



研究者いわく、

 

この結果は驚きだが、驚くべきことでもない。アート制作でストレスが減るのは、アートセラピーで実証されてきた事実だからだ。

 

すべての人はクリエイティブな能力を持っており、ちゃんとした環境さえ作ってやれば、誰でも視覚芸術を作り出すことができる。

 

とのこと。過去にも「アートは脳の機能を高める」なんて話もありましたし、アートセラピーは子どものうつ治療や老人の認知症対策にも使われてますんで、この結果には納得であります。

 

 

いっぽうで逆にストレスが増えたケースがあるのも気になりますが、これは「自分の作品がどう見えるか気になっちゃう人」に起こりやすいんじゃないかと考えられております。「ガーデニングのストレス効果」でも書いたとおり、なにごともマインドフルにやらないと意味が出ないわけですね。

 

 

ちなみに、若者のほうがアートの効果が出やすい点については、

 

おそらく、若者はまだストレスやトラブルへの対処法を学んでいる最中なのだろう。いっぽうで高齢者は、効果的にストレスとトラブルを処理する戦略を身につけているのかもしれない。

 

って感じ。年の功があるぶんだけ、高齢者はアートセラピーの効果が出にくいんじゃないか、と。まぁそうかも。

 

 

この実験はコントロールグループを作ってないのがちょっと残念なんですが、アートセラピーの効果は昔から確認されてきたことなんで、ストレス対策のひとつに取り入れてもよさそう。絵が下手な人でも、ラクガキぐらいで十分に効果はありそうな感じです。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。