ダイエットの大敵「甘いものが食べたい!」欲望は何週間で減らせるのか?
ダイエットでは「空腹」と「食物渇望」の区別が大事
「パレオダイエットの教科書」では「デブの原因は脳の暴走だ!」ってのが基本になっていて、この問題を正すためにいろんな策を紹介してるわけです。
で、ここで大事なのが、「空腹」と「食物渇望」の区別。どっちも「食べたい!」という欲望のことなんですけど、食欲研究の世界では明確に区別されてまして、
- 空腹(Hunger)=体が足りないカロリーや栄養素を補うための反応。いわゆる一般的な食欲
- 食物渇望(food cravings)=特定の食品を口にしたときにだけ満たされる欲望。ケーキとかジャンクフードとか
といった感じ。空腹はヒトの活動に必要な欲望なのに対して、食物渇望はムダにカロリーだけが増えていくタイプの欲望ですね。パレオダイエットでは、この食物渇望を減らせば自然に痩せていくよーってのが前提になっております。
食物渇望が減る期間はどれぐらいなのか?
が、そこで問題になるのが、「食物渇望ってどれぐらいの期間で減らせるの?(または本当に減るの?)」ってとこです。そのへんの目安を知っておかないと、なかなかモチベーションも上がりませんからね。
ってことで新しい論文(1)では、「食物渇望の減り方」についてガッツリ調べてくれていて非常にナイスでした。これは過去に行われた食欲研究から質が高い8件を選んでまとめたメタ分析になっております。とりあえず、現時点ではもっとも精度が高い内容かと。
具体的な実験デザインのうちわけは、
- 3つの実験は参加者がカロリー制限をしている
- 2つの実験は低脂肪ダイエットを実践
- 2つの実験は低糖質ダイエットを実践
- 1つの実験は高糖質&高タンパク食を実践
- 1つの実験はベジタリアンダイエットを実践
って感じです。いずれも特定の食事法を行っていて、自然とジャンクフードやお菓子の量が減っているのがミソ。本来なら「加工食品だけを減らしたケース」を見るのがベストなんですけど、そういった研究例が少ないのでしたかないんですな。
時間が過ぎれば過ぎるほど食物渇望は減る
そこでどんな結果が出たかといいますと、
- 12週間で0.25ポイントだけ食物渇望が減る!(5点満点で採点)
って感じです。だいたい加工食品を減らしてから3カ月を目安に少しずつ食物渇望が減りだして、時間が延びるごとにラクになっていくんだそうな。
さらに、細かな食品のグループでいうと、
- 甘いお菓子=0.4ポイント
- 高脂肪食=0.18ポイント
- 高糖質食=0.28ポイント
- ファストフード=0.34ポイント
のようになっております。アイスやケーキへの欲望がもっとも減りやすく、チーズのような高脂肪食の欲望は意外と根強いみたいっすな。
ただし三大栄養素を削るのはよくない
もうひとつ、特定のダイエット法が食物渇望にあたえる影響については、
- 低糖質または低脂肪ダイエットは、どちらも食物渇望を増やす傾向がある
なんて結果も出てるのがおもしろいところ。やっぱ三大栄養素のひとつを激しく削るのはよくないんでしょうなぁ。
ってことで、このメタ分析は「どんな激しい食欲でも時間が過ぎればどうにかなる!」って事実を示した点で貴重なものと言えるでしょう。食物渇望の問題にお悩みの方は「まずは3カ月だけがんばる!」を目標にしてみるといいかもしれません。
ただ、このメタ分析については、あまりにも個人差が大きすぎるので、あくまで大まかな目安でしかない点はご了承ください(ちょっと難しく言うとI2統計量が90%もある)。どうぞよしなにー。