フッ素加工のフライパンで癌になる!はどこまで本当か
フッ素加工で癌になる?
フライパンに関するご質問をいただきました。
いつも楽しく拝見させて拝見させて頂いています。 以前から気になっていたのですが、フッ素加工のフライパンについてどう思われますか?ネットの記事を見ると、ガンになるという記事が書いてあることがあって気になります。
とのこと。フッ素加工されたフライパンは本当に安全なのか?という疑問ですね。
いちおう説明しとくと、フッ素加工されたフライパンは焦げ付きにくいのがウリ。テフロン加工といった言い方もしますが、どちらも同じ技術を使っております。
フッ素加工で大腸癌の発症率が上がった?
で、フッ素加工がヤバいのでは?と言われる根拠はいくつかありまして、たとえば2013年の研究(1)が有名なところ。これはギリシャで行われた観察研究で、大腸癌にかかった250人の患者さんのライフスタイルを調査したんですね。
すると、フッ素加工の調理器具を使ってた人は、そうでない人より大腸癌の発症率が1.57倍ほど高かったというんですな。なかなか恐ろしげな話であります。
この原因として、よく言われてきたのが「PFOA」っていう化学物質。これはフッ素加工の補助剤として使われていた物質で、「発癌性が高いのでは?」って指摘が多かったんですよ。ネットのフッ素加工否定記事も、だいたいPFOAを取り扱ってるはず。
調理器具の発がん物質は気にしなくてよい
が、こちらには昔から反論がありまして、たとえばFDAが2005年に行った調査(2)では、
- フッ素加工の調理器具からPFOAが人体に入るケースはまず心配しなくていい
- というか、フッ素加工された紙(ポップコーンバッグとかに使うやつ)のほうがフライパンの100倍以上もPFOAが入ってるよ!
みたいな結論。さらに2010年にギリシャで行われた観察研究(3)では、182人の血液サンプルを調べたところ、血中のPFOA濃度と発癌率には相関が見られなかったとか。
もっと言えば、2006年には世界中のメーカーが「PFOAを全廃しようぜ!」って取り組みを始めてまして(4)、現行のフライパンはかなりPFOAの量が少なくなってたりします。つまり、
- もともと調理器具のPFOAは微量なレベルだった
- しかも、メーカーの努力でPFOA量はさらに減った
- というか、そもそもPFOAの発癌率もよくわかってない
って感じです。まぁ今売ってるフライパンなら何の問題もないんじゃないかと。
結局は高温調理がいけないんじゃないか説
では、なんで2013年の研究で「フッ素加工に発癌率がある?」みたいな結果が出たかというと、
- 焦げ付かないフライパンを使うと、つい高温調理をしがちだから!
ってのが有力な線ではないかと思われます。過去にも何度か紹介したとおり、高温で調理した肉や魚は有害な物質を生みますんで、そこらへんが「フッ素加工 → 発癌率アップ」の流れを生み出してるんじゃないですかねぇ。
ってことで以上の話をまとめると、
- フッ素加工(テフロン)のフライパンは安心して使ってOK
- でも焦げ付かないからといって高温調理しないでね!
ってことになりましょう。参考になれば幸いです。