ロシア発のトレーニング器具「ケトルベル」で筋肉はムキムキになるか?
ケトルベルにはどれぐらいの効果があるのか?
トレーニング法に関するご質問をいただきました。
毎日ブログを拝見させていただいてます。私はいま30際の男でずっと筋トレをしています。新しいトレーニングを試してみたいのですが、ケトルベルが気になっています。凄く筋肉を鍛える効果があるらしいのですが、鈴木さんはケトルベルについてどうおもわれますでしょうか?
とのこと。ケトルベルってのはトレーニング器具の一種で、以下のような形をしております。近ごろは、ケトルベルを置いてるジムも増えてきたような印象。
ケトルベルのエビデンスは中レベル
19世紀ごろからロシアで筋トレ用に使われ始めて、少しずつ世界に広まった感じ。元スペツナズに所属していたパベル・サッソーリンなどが、ケトルベルのトレーナーとして有名な方ですね。
で、私はジムでケトルベルをちょっと試したぐらいの経験しかないんで、いつものようにデータです。現時点でもっとも参考になるのは、2015年の論文(1)でしょう。
これはフランクリンピアス大学のレビュー論文で、過去に行われたケトルベル研究をまとめたもの。メタ分析は行ってないものの、いまんとこ一番バランスがよいのではないかと。
このなかで、研究者は5つのデータをレビューしてまして、まずは結果から引用しちゃうと、
ケトルベルトレーニングは安全性が高く、機能的な力とパワーを向上させ、姿勢のコントロールを改善するというそこそこのエビデンスがある。しかし、ケトルベルが有酸素持久力を上げるという証拠は得られなかった。
って感じ。ちゃんとしたデータが5つしかないのが気になるとこですが、とりあえずケトルベルを試して損はなさそうな雰囲気であります。
筋力の向上はそこそこ見込めそうだが…
さらに具体的にどんなエクササイズに向上が見られたかというと、
- ベンチプレス
- バックエクステンション
- クリーン&ジャーク
- ジャンプスクワット時の跳躍力
などなど。いっぽうで、最大酸素摂取量(VO2max)には目立った変化がなかったそうで、こちらはちょっと残念ですな。
ただしここには注意点もあって、14人を対象にした2014年の実験(2)では、
- タバタ式でケトルベルをやる
- 定番の方式でケトルベルをやる
ってグループにわけたら、タバタ式を採用したほうはケトルベルでも十分に最大酸素摂取量が向上してたんだそうな。つまり、やり方次第では、十分にケトルベルでも心肺機能が上がるかもしれないってこってすな。
まとめ
そんなわけで、以上の話をふまえて個人的な感想を申し上げますと、
- 従来の筋トレルーチンに飽きたときに、たまに取り入れる
- タバタ式のルーチンに新鮮味を加えたいときに取り入れる
ぐらいがいいのかなー、という印象ですかねぇ。というのも、普通の筋トレにくらべて、ケトルベルにメリットがあるってわけでもなさなもんで。あくまで、普段の筋トレに彩りを加えるために使うぐらいがよいのではないでしょうかー。