暴力ゲームはプレイヤーの攻撃性を増す!だがしかし……みたいなメタ分析の話
「暴力的な映像を見ると、暴力的な人間になるの?」ってのは昔からよくあるテーマ。個人的にもゾンビ映画とかゲームは大好きなので、実際のところはどうなのかは気になるところだったりします。
で、新しい論文(1)はそこらへんをガッツリ調べてくれてて有用でありました。
これはミシガン大学の研究で、過去に行われた「暴力ゲームと攻撃性」に関する実験から質が高い24件を選んでまとめたもの。みんな大好きメタ分析になっていて、たとえば「ポスタル」とか「GTA」をやったら本当に他人に暴力をふるうような人間になるのか?ってところを調べてくれております。
って実は2016年にも似たような研究は出てたんですけど、
- 今回のほうが最新のデータを使ってて被験者も多い(2010 〜 2017年)
- 「攻撃性」の定義を「肉体への暴力は増えるか?」に限定している(昔のデータだと「口汚くなった」や「態度が悪くなった」ぐらいの変化を「攻撃性」にふくめてるケースも多い)
- 効果量を出してくれてる(正味な変化がつかみやすい)
ってポイントがあって、従来よりも良い感じになってるんですねー。
では、その結論がどうだったかと申しますと、
今回の研究では、暴力的なテレビゲームが肉体的な攻撃性を増加させることはあきらかだ。
だったそうです。なんと2006年論文では「暴力ゲーム無罪!」って論調だったのが、ここではくつがえっております。あら、いやだ。
ただし私のような暴力ゲーム好きの方もご安心ください。いっぽうでデータではこんな結論も出ております。
- 暴力ゲームで攻撃性が増す効果量は0.08!
うーん、これは判断が難しい。あまりにも数字が小さいもんで、暴力ゲームが悪いと言えば言えるんだけど、現実的にはほとんど無視してもいいとも言えるんですよねー。
事実、研究チームもこう言っております。
伝統的な数値の見方からすれば、これは大きな効果ではなく、非常に小さい。しかし統計的に有意なのは間違いがなく、決して偶然ではなく、結果は一貫している。
これまた難しいところですが、いずれにせよ、このデータを使って「やはりゲームは悪!」とも主張できるし、逆に「ゲームの悪影響がほぼないことが実証された!」とも言えちゃうのは間違いないっすね。個人的には、ほぼ問題にならないレベルだよなーとは思いますけども。