脳が30年も若返る方法はこれだ!というカリフォルニア大学の実験
https://yuchrszk.blogspot.com/2019/08/30.html?m=0
「脳が30年も若返る方法はこれだ!」という希望に満ちた論文(R)が出ておりました。
これはカリフォルニア大学の研究で、58 〜 86歳の男女42人を対象にしております。みんな健康的で、特に認知機能にも問題がない人だけを選んだらしい。
実験は2つに分かれていて、大まかなデザインはこんな感じ。
- 半分の参加者に、「スペイン語クラス」「絵画教室」「iPadの使い方クラス」「作曲クラス」のうち同時に3つのクラスに参加してもらう
- 全てのクラスを15週間続けた後、認知機能を計測する
それぞれのクラスは1回2時間の長さで、週に3回のペースで行ったとのこと。授業の内容は、普通にレクチャーを受けた後で課題を申しわたされ、たまにグループエクササイズをやるような感じだったみたい。カルチャーセンターなんかでもやってそうな、一般的なカリキュラムですね。
ちなみに、ここで教師として選ばれたのは「55歳からあとにスペイン語を習った」や「60過ぎから絵画を学び始めた」のように、人生の後半から新たなスキルを身につけた人だけに限ったそうな。もちろん、こういったタイプの人材を使うことで、参加者たちに「年を取っても成長できるのだ!」と思わせるのが狙いであります。
また、この実験で計測した認知機能は、
といったラインナップになってます。いずれも頭がうまく働くためには欠かせない能力っすね。
で、最終的にどんな違いが確認されたかと言いますと、
- 実験スタートから6週目のポイントで、複数のスキルを学んだ参加者は、すべての認知テストに有意な改善が見られた
- 12週目のポイントでは、ワーキングメモリの変化は止まったが、認知コントロールとエピソード記憶は改善し続けた
みたいな感じです。認知機能の種類によって変化の差異はあれど、全体的にはいい感じで能力がアップした感じですねー。
さらに、ここでは「日常の問題にうまく対処できるか?」って問題もテストしていて、実験前のベースラインが74.23%だったのが、実験後には86.19%まで向上してたそうな。ここでいう日常の問題ってのは「レシピどおりに料理を作れるか?」とか「食品の栄養ラベルを正しく解析できるか?」とか「薬を用量用法どおりに飲めるか?」みたいなことです。
研究チームいわく、
6週目における被験者の認知パフォーマンスは、30歳ほど若い中年の成人のパフォーマンスに似ている。
だそうで、たった6週間でどえらいことになってますね。
高齢者でも複数の新たなスキルを同時に学ぶことができる。しかも、そうすることによって、認知機能を改善することもできるのだ。
とのこと。複数のスキルを同時に学ぶことで、脳機能が激しく若返るんじゃないか?ってポイントを重視しておられました。
まぁただ、個人的には「複数スキル」の習得のほかにも、「クラスで新たな人間関係ができた」ってのも脳機能の改善には大きかったんじゃないかと思っております。事実、以前のオックスフォード大学研究なんかでも「新たな学習で新たな人間関係を作るのが大事だよ!」みたいな結論ですし、良好な人間関係が脳に与えるメリットは疑いようがないので。
いずれにせよ、いい感じに年をとるためには新たな学習を続けた方がいいのは確実なので、いくつになっても複数のスキルを学ぶようにしとくと良さげですねー。