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ワーキングメモリの性能を上げる方法まとめ 2016年版

Genius

  

こないだ「ネガティブにならないためにもワーキングメモリは大事!」なんて話を書きまして。

 

 

ワーキングメモリは記憶の一時貯蔵庫で、日常生活はもちろん勉強でも仕事でも超大事。頭がいい人ほどワーキングメモリの性能がいいって証拠は山ほどあるうえに、近年ではメンタルヘルスにも重要ってデータがいろいろ出てきまして、実に熱い分野であります。

 

 

ならば、どうにかワーキングメモリを鍛えられたらな~と思うのが人情なんですが、残念ながら現段階では「これなら間違いなし!」というテクニックは存在しないのが現状だったりします

 

 

ただし、「希望はあるかなー」レベルの方法ならいくつか出てますんで、以下にまとめておきます。

 



 

 

1.デュアルNバック課題

当ブログをお読みの方なら周知のとおり、近年では「脳トレってムダでしょ」みたいなデータが多め。ただし、「デュアルNバック課題」ってトレーニングについては、まだ望みが高そうな感じであります。

 

 

「Nバック課題ってなに?」という方は、「本当に頭が良くなるかもしんない脳トレ」をご参照ください。とてもシンプルなトレーニングなんですが、2013年のメタ分析(1)だと、1日15分やればIQが5ポイントはあがるって結論になっております。現時点ではもっとも信頼がおけるテクニックと言えましょう。

 

 

ただし難点としては、

 

  • 続けるのにガッツが必要:なにせ退屈なんでモチベーションが続きにくい。
  • 長期的な効果が不明:短期的には間違いなくワーキングメモリに効くんだけど、トレーニングを止めるとすぐに元に戻っちゃう可能性も高い

 

ってのが悩ましいですね。実際、私もNバック課題は続けられてませんしね…。

 

 

2.tDCS

tDCSは頭に電極をくっつけて脳に電気ショックを与える方法。 いかにも怪しげですが、ここ数年マジメに研究が進んでおります。

 

有名なのは2011年のモナシュ大学実験(2)で、10人の脳に10分ほど微弱な電気を流したら、デュアルNバック課題の成績がハッキリと上がったとか。このほかにも、

 

  • tDCSで失読症が改善した(2015年,3)
  • 脳の電気刺激で感情の制御が上手くなるかも(2015年,4)

 

なんて報告がありまして、なかなか面白い分野ではあります。

 

 

ちなみに、すでに海外だと「halo」とか「foc」みたいな電気ショックガジェットも売られてますけど、まだ個人的には試すレベルじゃないかなーというところ。2015年にも「健康な成人には効果がないかもよ」ってデータ(5)も出てるんで、あと5年は様子をみたいかなぁ。

 

 

3.クスリとかサプリとか

いまんとこ、ワーキングメモリに効く薬として有望なのは「アデラル」。ADHDの治療などに使われるお薬(6)で、健康な成人にも効くんじゃないなかーと考えられております。

 

 

ただし、アデラルは日本じゃ思いっきり麻薬指定されてますんで、一般人が使うのは不可能。なので現状ではサプリを使うしかないかなーと。ワーキングメモリ系のサプリについては、以下にまとめてますんでご参考までに。

 

 

 ただし、サプリの場合は、ちゃんと野菜や肉を食べて栄養が足りてるときは効かないので、そこはご注意ください。あくまで、ストレスや寝不足などで、ムダにワーキングメモリの性能が落ちてるときに使うといいかなーぐらいの感じであります。

 

 

4.その他、希望がありそうなもの

現時点でわりと精度が高いのは以上の3つぐらいですが、他にも「希望があるかも?」と思わせるテクニックがいくつかあるんで、ざっと並べておきます。

 

  • 木のぼり:木にのぼると自然に頭を酷使するるため、ワーキングメモリが上がる可能性が高い。
  • スタンディングデスク:テキサス大が何度か実験を行い、スタンディングデスクを24週間ほど使った学生はワーキングメモリが向上していた。
  • マインドフルネス瞑想:1日20分の瞑想を2週間ほど続けたら、ワーキングメモリが活性化したとのデータあり。
  • 筆記開示:「自分が体験したネガティブな経験をノートに書き殴る」方法。5週間の実践でワーキングメモリが上がったとのデータがある。

 

このあたりは、まだデータ数が少ないものの、かなりイケそうな空気が出てますねー。このなかだと、地中海式ダイエットが脳に良いのは間違いないんで、日ごろの食事の参考にしとくとよさげです。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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