ナルシストって物事を深く考えるのが苦手なんじゃないの?みたいな研究の話
「ナルシストは頭が悪い!」って論文(R)がおもしろかったんでメモ。
これはウォータールー大学の研究で、100人の被験者を対象にこんなデザインの実験をしてます。
- みんなのナルシストレベルを計測する
- みんなに認知反射テストをやってもらう
- 2つのデータをくらべる
認知反射テストってのは、簡単に言うと「引っかけクイズ」みたいなもんでして、「心理学の実験で創造性を計るときに使われる「なぞなぞ」まとめ」に取り上げたものに近いです。代表的なものを再掲すると、
睡蓮は24時間ごとに倍に増えます。夏のはじめのころ、湖には1つの睡蓮しかありませんでした。睡蓮が湖全体を覆い尽くすまでは60日かかりました。湖の半分を睡蓮が埋めつくすまでは何日かかったでしょう?
カエルが32フィートの深さの井戸に落ちました。カエルは1日に2フィートジャンプしますが、その後で必ず1フィース下に滑り落ちます。カエルが井戸から抜け出すには何日かかりますか?
みたいなやつです。直感で考えると間違えがちなんで、正しい答えを出すには「クリティカルシンキング」が必須なんですよ。つまり、この実験は、たんにIQの高さをみたんじゃなくて、思い込みに飛びつかずに論理的に考えられるかどうかをチェックしたわけです。
さらに、研究チームはナルシストのタイプを大きく2つに分けてます。
- 尊大ナルシシズム:俺はすごいのだ!他人より優れているのだ!と素で思ってるタイプのナルシスト。いわゆる一般的なイメージに近いナルシストですな。
- 脆弱ナルシシズム:自分は好きなんだけど、自信がないせいでいつも不安なナルシスト。他人からの批判にめっぽう弱い。SNSを更新してポジティブな反応がないと落ち込んだりする人に多い。
ひとくちにナルシストといっても「メンタル無敵系」と「メンタル劇弱系」の2種類がありまして、この違いがクリティカルシンキングの能力に影響を与えるのではないか?と考えたわけっすね。
で、その結果がどうだったかと言いますと、
- 尊大ナルシシズムな人ほど「俺は正しい答えを出せたはずだ!」と回答したが、脆弱ナルシズムな人にはその傾向はなかった
- 尊大ナルシシズムも脆弱ナルシシズムも、クリティカルシンキングの能力とは負の相関があった(要するに、ものごとを深く考える能力に乏しかった)
- 特に尊大ナルシシズムな人は、平均的な人にくらべて知的な能力が低い傾向があった
だったそうです。どちらのタイプのナルシストも同じようにクリティカルシンキングは苦手で、特に尊大系のナルシストは平均よりも知的な活動が苦手らしい。自分大好き系の人には厳しめな結論ですねー。
もっとも、一方ではナルシストは社会的に成功しやすいし異性にもモテやすい傾向があったりもしますんで、「だったら自分好きなままでいいや!」と考えるのも一興ではありますが。