今週の小ネタ:鉄分の取りすぎで糖尿病に、職場の嫌な体験は連鎖する、ダイエット中のビタミンDで炎症改善スピードアップ
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
鉄分の取りすぎで糖尿病に
まずは浙江大学の研究(R)で、「鉄分の取りすぎで糖尿病になるぞ!」との結論を出したメタ分析になっております。
前から「ヘム鉄って糖尿病に良くないのでは?」みたいな話はあったんですけど、今回は15件の前向きコホート研究をまとめた膨大な内容になってまして、なかなかよろしいのではないでしょうか。軽くデータの内訳を申し上げますと、
- 総サンプル数は77,352人
- フォローアップ期間は2.8〜16.8年
- アジア圏のデータも6件入ってる
みたいな感じで、血中の鉄分レベルと糖尿病の発症リスクを比べたところ、結果はこんな感じになりました。
- 血中の鉄分が少ない人に比べて、鉄が多いグループは糖尿病にかかる率が54%も高い!
- フェリチン(血中の鉄分を判断する指標)のレベルが100-g/L増えるごとに、糖尿病リスクは22%高くなる
- 鉄分による糖尿病のリスクは男性より女性のほうが大きい
ってことで、やっぱ鉄分の取りすぎはよくないっぽい。そういえば、過去にも「ヘム鉄が多い赤身肉を食べると糖尿病に!」みたいな話(R)も出てましたんで、やっぱそうなのかーみたいな感じっすね。なんでもヘム鉄のせいで体内の酸化が起こり、インスリンを分泌するβ細胞がやられちゃうらしい。
ってことで、やはり牛肉などのレッドミートはほどほどにしとくのがいいんでしょうなぁ。
職場の嫌な体験は連鎖に連鎖を生むぞ!
次はオクラホマ州立大学などの研究(R)で、「職場で嫌なことをされたらみんなどう対応してるの?」って問題について調べたものです。同僚から嫌味を言われたり、上司からパワハラを受けたりした際に、たいていの人はどんな反応をするのか?ってことですな。
これは246件の先行研究をまとめたメタ分析になってまして、まずいきなり結論から言っちゃうと、
- 会社で嫌なことをされた場合に、「目には目を!」で対応する人が1番多かった
- 2番目に多い反応は、「倍返しだ!」の対応だった
- 「軽めの復讐」に落ち着く人はほとんどいなかった
だったそうな。1番目の反応と2番目の反応にはほとんど差がないので、たいていの人は「同じレベルの復讐」か「エスカレートした復讐」のどっちかで対応するわけですな。
研究チームいわく、
この研究からわかることは、もしマネージャーが1人の従業員の嫌な行いを止めることができれば、そこから続くはずだった嫌な行いの連鎖を止められる、ということだ。
とのこと。ひとつのパワハラは別のパワハラを生む可能性が非常に高いので、早いうちにストップをかけることができれば、負の連鎖反応を止めることができるってわけですね。これは会社経営だけじゃなく、日常の暮らし全般で大事なことですなぁ。
ダイエット中のビタミンDで炎症改善スピードアップ!
最後は過体重な女性218人を対象にした研究(R)で、「ビタミンDでダイエットによる炎症の改善効果が倍に!」って結論になっておりました。どういう実験かと言いますと、
- 女性たちに1日2000IUのビタミンDを飲んでもらい、ついでにエクササイズも指示する(1回45分のジョギングを週5回やる)
- 1年ほど続けてもらって様子をみる
って内容になってます。その結果がどうだったかと言いますと、
- ダイエットに成功した女性は、みんな体内の炎症レベルが低下していた
- が、ダイエット成功に加えてビタミンDを飲んだグループは、炎症レベルの下がり方が倍になっていた(37%の改善)
だそうで、研究チームいわく、
体重がベースラインから5%以上減った女性にのみ、ビタミンDで炎症マーカーが改善した。どうやらビタミンDは、体重の減少による抗炎症作用をブーストする働きがあるようだ。
慢性的な炎症は癌の発症スピードを促進するが、体重を減らせば炎症も改善する。ここにビタミンDを組み合わせるのは、発がんリスクを減らす有効な対策になるだろう。
とのこと。もしいまダイエット中の方がいれば、1日2000IUのビタミンDでさらにメリットを得られるかもですねー。