「リフィード」を使えばカロリー制限中も筋肉が減りづらくなるかも?みたいな実験の話
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カロリー制限をすると筋肉が減る!ってのは間違いないところでして、くわしい内容は以前に「『増量期』&『減量期』入門」にもまとめております。筋肉を維持するためには絶対にカロリーが必要なんで、こればかりはどうしようもない話なんですよね。
なので、減量中に起きる筋肉の衰えについては「そういうもんだ」としてあきらめるしかないわけですが、それでもいくつかの対策はあるわけです(「タンパク質の量を増やす」とか)。なかでもよく使われるのは「リフィード」って手法でして、ざっくり言えば、
- カロリー制限中にいつも通りに食事する日を作る
って考え方です。いつもは2,000kcalを食べてる人が1日1,500kcalのカロリー制限をしてるとしたら、週に1〜2回ぐらいは普通に2,000kcalを食べる日を作ってみるわけっすね。
では、実際にこのリフィードに効果があるのか?ってことで、サウスフロリダ大学などのチームが検証(R)を行ってくれておりました。これは27人の男女(平均25歳)を対象にしたテストで、全員に週4回の筋トレを指示したうえで2つのグループに分けてます。
- 週に5日だけ〜25%のカロリー制限を行い、残りの2日はリフィードで普通に食べる
- 毎日同じレベルのカロリー制限を続ける
もちろん週当たりの総摂取カロリーは両グループで同じレベルに調整。リフィードでは炭水化物の摂取量を増やす形で行っております。
実験期間は7週間で、最後に全員の体重 、脂肪 、筋肉量、安静時代謝などをチェックしたところ、結果はこんな感じになりました。
- リフィードを行ったグループは、カロリー制限を続けたグループよりも筋肉の減り方が少なかった(0.4 kg vs. 1.3 kg)
- リフィードを行ったグループは、カロリー制限を続けたグループよりも安静時代謝率 が下がらなかった(-38kcal vs. -78 kcal)
- 体脂肪の減り方については、両方のグループで明確な違いは見られなかった
というわけで、どうやらリフィードを実践すると、カロリー制限にともなう筋肉や安静時代謝の減少がやわらぐみたい。かっこいい体作りを目指している人には良いニュースですなぁ。
ただ、個人的には「このデータには難点もあるなー」と思ってまして、
- とにかく結果の個人差ががデカい:リフィードをしたグループにおける筋肉の減り方はがかなり違っていて、特に3人の被験者が他より良い成績が出過ぎてたりします。どうにも、リフィードグループが良い結果になったのは、この3人の影響が多い気もするんですよね。
- 先行研究と整合性がとりづらい:過去に行われたプチ断食の研究データを見ると、たいていは「カロリーの摂取量を変動させても、目立って筋肉が保存される」って結論が出てるんですよ。これを考えると、今回のデータもいまいちうのみにしづらい感じ。
- 実験デザインの問題:7週間の実験では目立った結果が出ない可能性もあるし、2日のリフィードではグリコーゲンを満たすのに十分でない可能性もある。
といったあたりは大いに気になるポイントかと思います。特に個人差の問題はかなりデカいんで、今後の追試によってはガッツリと否定されそうな雰囲気もただよっております。
では、私がリフィードをオススメしないかと言えばそんなことはありませんで、
- やはり理論的にはリフィードは効く可能性がある
- 定期的なリフィードをすると精神的にラクなので、減量期のツラさがまぎれるのは間違いない
って2点を思うと「試してもいいんじゃないかなぁ」と考えております。よしんばこれからメリットが否定されたとしても、少なくとも減量効果自体がなくなるわけじゃないし、精神的にラクなのは確実ですんで。