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睡眠が足りないとどれぐらいかっこ悪い見た目になっちゃうのか?を調べた実験の話

 

睡眠不足は太る!」のはもはや周知の事実ですが、さらに進んで「よく寝ない人はどれぐらい体型がかっこ悪くなるのか?」みたいなポイントをチェックしたデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはオスロ・メトロポリタン大学の実験で、「最適な睡眠と筋トレを組み合わせたら体脂肪の減り方はどうなるの?」って疑問を調査したもの。睡眠不足で運動したら体脂肪が減りにくくなるんじゃないかって仮説ですね。

 

 

そこでチームは22人の男性を集めまして、以下の2グループに分けております。

 

  1. たんに10週間の筋トレをやる
  2. 研究のスタート時に「良い睡眠」に関するレクチャーを受けたあと、上のグループと同じ10週間の筋トレをやる

 

参加者は特に睡眠の問題を抱えてない普通の人ばかりで、さらに過去に筋トレをしてない者だけを選んだらしい。

 

 

また、この実験で採用された「良い睡眠に関するレクチャー」は、ノルウェーで使われている睡眠障害のためのガイドラインを使っていて、次のようなアドバイスで構成されております。

 

  1. 寝ている部屋は暗くして、できるだけ静かにして、涼しくしましょう
  2. 週末もふくめて同じ時間に寝て起きる
  3. ちゃんと毎日8時間眠る
  4. 寝る2時間前に室内のライトを消し、パソコン、タブレット、スマホを使わないようにするか、できる限り光を発しないようにし、 食事と運動をひかえ、コーヒーや紅茶は飲ず、静かで前向きなアクティビティを行う(瞑想とか半身浴とか)就寝前に関係の衝突を起こさない
  5. 朝起きたら、すぐにできるだけ多くの光を浴びる
  6. コーヒーは就寝の6時間前まで
  7. 起床のために目覚まし時計が必要ないくらいの睡眠をとるように心がける
  8. 就寝時に発光する電子機器は使わない
  9. リラクゼーションのテクニックを学び、寝る前や深夜の覚醒時に使う

 

とても基本的な手法ばかりですけど、すべてをちゃんと実践できている人は意外と少なそうっすね。

 

 

さらに、この実験で使われた筋トレメニューはこんな感じになってます。

 

  • 筋トレのペースは週に2回
  • 10分間のウォームアップから始まり、続いてレッグプレス、チェストプレス、ニーエクステンション、チェストプレス、ラットプルダウン、レッグカール、ケーブルロウを行う
  • 10回で限界が来るような負荷で2〜3セット行う(セット間休憩は90秒)

 

その上で DXAでプログラムの前後に体脂肪の量を測定しつつ、同時にアンケート調査で不眠のレベルも調べたとのこと。

 

 

でもって10週間後にどんな違いが確認されたかと言いますと、

 

  • 筋トレだけのグループよりも、筋トレ+睡眠改善をしたグループのほうが筋肉が増えた(1.7±1.1 vs 1.3±0.8 kg)。ただし、グループ間の差は統計的に有意ではなかった(p=0.29)

 

  • 筋トレ+睡眠改善をしたグループは、筋トレだけのグループより体脂肪が多く減った(-1.8±0.8 vs -0.8±1.0 kg;p=0.02)。体脂肪率の低下についても、筋トレ+睡眠改善をしたグループの勝利だった(-2.07%対-1.11%、標準偏差なし;p=0.03)

 

みたいになってます。筋肉の増加については微妙な差ですが、体脂肪については睡眠改善で良い成果が出たらしい。

 

 

ちなみに今回の結果は先行研究ともおおむね一致してまして、

 

  • 2週間の減量中に睡眠時間を8.5時間から5.5時間に短縮したら、脂肪が減りにくくなり、筋肉は減りやすくなった(R)

 

  • 睡眠不足により血糖コントロール、空腹、食欲が悪化し、最終的にエネルギー摂取量が増加える (R)

 

といったあたりを見れば、まぁ睡眠不足で体型が崩れていくのはほぼ間違いないでしょうね。このブログをお読みの方には馬の耳に念仏でしょうが、かっちょいい見た目をキープするためにも睡眠の質を改善していただければと思う次第です。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。