運動中に砂糖か塩で口をすすぐとパフォーマンスが上がるのか?を確かめたテストの話
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「運動中に砂糖か塩で口をすすぐとパフォーマンスが上がる!」って説があるんですよ。口をすすいだだけで?といぶかしむ方も多そうですが、それなりに確度の高い話でして、
- 舌が甘みまたは塩気を察知すると、身体に味覚刺激反応が起きる
- 口のなかにある受容体が、運動に関わる脳のエリア を活性化する
- 運動のパフォーマンスが上がる!
といった流れが想定されてたりします。甘いものやしょっぱいものを口にすると神経系の一部が興奮するので、そのおかげでパフォーマンスも上がるんじゃないか、と(R)。
というわけで新しい実験(R)では、「本当に砂糖か塩で口をすすぐだけで運動能力が上がるの?」ってとこをチェックしてくれておりました。
これは10人の健康な男性(平均年齢22歳)を対象にしたテストで、最大酸素摂取量が平均で48.3 ml/kg/分ぐらいの人を選んだそうな。そこそこの身体能力っすね。
実験では3つのコンディションを用意しまして、
- 運動中に水で口をすすぐ
- 運動中に6%のグルコース(ブドウ糖)で口をすすぐ
- 運動中に6%塩分で口をすすぐ
って感じで設定。それぞれ7日間のあいだをあけてもらいつつ、全員にすべての条件で運動テストをしてもらったんだそうな。
運動テストの内容も簡単にまとめておくと、
- ニーエクステンションを3セット行い、最大の筋力を計測(セット間の休憩は2分)
- さらに追加でニーエクステンションを90秒だけやり、持続性の最大筋力をチェック
- 最大酸素摂取量の70%で30分ほどサイクリングをしつつ、その直前と途中の10分ごとに、水、糖、塩のいずれかを用いて口をすすぐ(5秒間)
- 最後にニーエクステンションのテストを行う
みたいになってます。サイクリングの途中で口をすすいだら、その後の筋力にどれぐらいの違いが出るかを調べたわけっすね。
で、結果はこんな感じです。
- サイクリング後のテストではすべての条件で筋力が下がっていたが、ブドウ糖または塩で口をすすいだ場合は水よりも筋力がキープされていた
- ブドウ糖と塩のあいだで筋力維持の効果に違いはなかった
というわけで、予想どおりブドウ糖または塩で口をすすいだら筋肉が疲れにくかったらしい。実際の数値をメモっておくと、水で口をすすいだ場合は筋力が35%下がったのに対して、ブドウ糖または塩の場合は15%ぐらいだったそうな。思ったよりパキッとした差が出ましたね。
まー、ただしこの実験はだいぶゆるい内容でして、参加者は少ないし、盲検化はされてないし、予備登録もされてないし、なによりも「筋収縮に効果があったからといって、現実のスポーツで本当に効果があるかなー」って感じもしております。本当にブドウ糖と塩のマウスウォッシュが使えるかは、もうちょい厳しい条件で研究しないとわからんなぁってのが正直なところです(個人的には運動のパフォーマンスをダイレクトに測定して欲しい)。
もっとも、過去のより大規模な研究(R)も見てみると、「ブドウ糖のマウスウォッシュでパフォーマンスが上がった!」って結論が出てまして、持久力(R)や筋トレ(R)の成績が改善するかも?などとも言われてたりします。ここらへんを見てみると、「それなりに試す価値はありそうだなぁ」とは考えております。
試してみたい方は、トレーニングの最中にブドウ糖を溶かした水をチビチビやってみると、疲れにくくなっていいかもしれません。自分も筋トレで試してみようかな……。