セルフコンパッションが慢性痛とメンタルの激しい落ち込みに効くかもだ!みたいな話
メンタル改善の技法として、昔からよく「セルフコンパッション」って考え方を推奨してます。これは、
- 自分へのやさしさ:他人を思いやるときのように、自分にもやさしくしてやる態度
- 一般的な人間性:人間は周囲との関わりのなかで生きているという事実への自覚
- マインドフルネス:思考にとらわれずに目の前の現実に意識を向けられる態度
って3つの要素からなるマインドのあり方を意味してまして、セルフコンパッションが高い人ほど幸福度が高いってデータが近ごろ多いんですよ。とにかく、自分に対して親友のような気持ちで接しようぜ!って考え方なんで、身につければメンタルには良さそうですよね。
ということで、近ごろセルフコンパッション関連の話が2つ出てたので、ざっと内容をメモしておきます。
慢性痛にセルフコンパッション
まずひとつめ(R)は「慢性痛にセルフコンパッションが効く!」ってな結論になってました。これはコインブラ大学などの調査で、3ヶ月を超えて慢性的な痛みに悩んでいるポルトガル人女性231人が対象で、そのほとんどが線維筋痛症と診断されてたそうです。
調査の内容がどんなもんだったかと言いますと、
- みんなに「痛みに対してどれだけ積極的に立ち向かってますか?」と質問
- さらに、みんなの「セルフコンパッションレベル」を測定(「自分の失敗は人間なら誰にでもあることだ」みたいな質問に同意するかどうかでチェックしてる)
って感じで複数の質問をぶつけて、どんなタイプの人が慢性痛に強いのかを選り分けたらしい。すると、結果は大方の予想どおりでして、
- セルフコンパッションが高い人ほど、慢性痛に対して積極的な対策を行う傾向が強く、そのおかげで抑うつ症状が少なく、実際に痛みのレベルも低かった
って結果だったんだそうな。どうもセルフコンパッションが高い人は「この悩みは人類にとって普通のことだから、なんらかの対策があるはずだ!」という希望を失わないため、おかげで前向きに対処するモチベーションが高いらしい。確かにそっちの方が、「この痛みは誰にもわからない!」と思ってふさぎこむよりも、確実にメンタルにいいでしょうね。
もちろん横断研究なんで「因果関係はわからない!」って問題はあるんですけど、しつこい痛みにお悩みの方は一考の余地があるかもしれませんね。
「自分がチームの足を引っ張った!」をセルフコンパッションが救う
続きましてはオハイオ州立大学などの研究(R)で、「『人様に迷惑をかけてしまった……』って気持ちにセルフコンパッションが効く!」って内容になってます。
例えば、「自分がミスったせいで同僚に尻ぬぐいをさせてしまった…俺はチームのお荷物なのだ!」みたいな気持ちになることは誰にでもあるじゃないですか(私もよくあります)。この気持ちをほっとくとネガティブの沼に沈んでいくばかりですが、そこでセルフコンパッションが効くというんですね。
研究では160人から300人ぐらいの参加者を集めてオンラインで複数の実験を行っ手間して、おおよそのデザインはこんな感じです。
- 実験1:チーム戦のゲームに参加したが、自分の失敗で得点が減ってしまったところを想像する
- 実験2:3つの単語を見て、そこから連想される正解の単語を探すゲームに、実際にチームの一員として参加してもらう。その際、参加者の半分には「あなたのせいでチームの成績が悪くなった」と伝える
というわけで、どちらの実験でも、参加者を「自分がチーム内で失敗した状況」に送り込んだわけっすね。
でもって、そこからみんなの落ち込みレベルをチェックしたところ、
- どちらの実験でも「自分がチームの足を引っ張った!」と思った参加者は自尊心が低下したが、セルフコンパッションのレベルが高い人は、ネガティブな感情を有意に経験しなかった
って結果だったそうな。オンライン実験なので、もしかしたら現実の場面では適用できない可能性もありますけど、まぁ研究の主な所見のほとんどが個々の実験で再現されてるんで、そこらへんは割といいんじゃないでしょうか。
というか、私も「人様の迷惑になった……」ってケースでは激しく落ち込むことが多いので、セルフコンパッションを鍛えて行きたいとこです。具体的な手法などは、
あたりにまとめております。