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筋トレの負荷と回数を変えまくったら同じトレーニング量でも筋肉の成長は変わるの?という話

  

筋肉を育てるにはボリュームが大事だ!ってのはよく書いてる話。ボリュームというのは、

 

  • 負荷 × 回数 × セット数

 

で表される数値で、この量が大きければ大きくなるほど筋肉も育つよーというお話です。なので私も筋トレをする際は、「俺の筋トレ」みたいな管理ツールで記録しております。自動でボリュームを計算してくれるんで便利。

 

 

ただ、ここで気になるのが、ボリュームが同じならあらゆる面で筋肉の発達は変わらないのか?ってとこです。たとえば、「32回のダンベルカールを3セット」と「3回のダンベルカールを10セット」を比べても、筋肉にあたえる影響は同じなの?って問題ですね。

 

 

そこで参考になるのが、東大などのチームが行った新しい研究(R)です。参加したのは42人の健康な男性で、実験の1年前まで筋トレはしたことがなかったとのこと。

 

 

実験デザインはシンプルで、参加者を4つのグループにわけてます。

 

  1. 4RMの負荷を使って7セットのベンチプレス
  2. 8RMの負荷を使って4セットのベンチプレス
  3. 12RMの負荷を使って3セットのベンチプレス
  4. トレーニングしない

 

トレーニングのペースは週に2回ずつで、セット間の休憩は約3分間(RMの説明はこちらをどーぞ)。どのグループもトレーニングのボリュームはそろえていて、負荷とセット数を変えたらどんな違いが出るかをみたわけっすね。ちなみに、被験者が規定のレップ数をこなせなかった場合は、できるようになるまで同じ負荷で行い、規定のレップ数に成功した場合は次のトレーニングセッションで負荷を2.5kg増加させていったそうです。

 

 

実験期間は10週間で、MRIやベンチプレスで検査を行ったところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • 胸の筋肉は3つのグループすべてで同じように増えていたが、ベンチプレスの筋力は12RMよりも4RMと8RM群(それぞれ18.7±10.1 vs. %28.4±10.0% vs. 29.5±11.6%)の方が増えていた(p<0.03)

 

  • 胸の筋肉量の相対的な変化は、12RMグループがベンチプレス1RMの相対的増加と相関していた(r = 0.684; p = 0.042)。4RMと8RMグループには相関しなかった

 

なにやら難しい表現もありますが、言い換えれば、

 

  • ボリュームが同じなら筋肉は同じように増えるが、負荷が強い筋トレの方が筋力は増える
  • 軽い負荷でトレーニングした場合は筋肉の量が増えるごとに筋肉も増えるが、重い負荷でやった場合はそんなことはない

 

ぐらいの意味になります。まぁ昔から「筋力をつけるには高負荷トレーニングだ!」と言われてきたんで、その点では「やっぱりなー」ぐらいの結果なんですが、軽い負荷の場合は筋肉と筋力が関係してたのに、重い負荷では相関してないのはちょっとおもしろいですね。

 

 

ただ、多くのデータ(R,R,R)を見てますと、

 

  • 筋トレの経験がない人たちは、わりと筋肉の増加と筋力の増加は関係がないケースが多い
  • トレーニング歴が長くなるにつれて、筋肉の増加と筋力の増加が関連しやすくなる

 

って傾向は出てるんで、筋トレ歴が長い参加者を対象にしたら、すべてのグループでも筋力は似たように伸びてたのかなーとか思う次第です。

 

 

というわけで、やや玉虫色の結論になっちゃうんですが、

 

  • 基本的に負荷とセット数の組み合わせは気にしなくても良さそうだけど、たまには負荷が重い筋トレの日を作っていくのはいいかも

 

ぐらいの印象ですかねー。ではまた。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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