ビタミンKサプリで体脂肪が減るかもしれない?説を調べた長期研究のお話
ビタミンKといえば納豆などに豊富な成分のひとつ。いまいちマイナーな成分な気もしますが、過去には「血管の健康に欠かせない!」ってメタ分析も出てまして、不足したらヤバいのは間違いないところです。
で、昔からたまーに言われてたのが、「ビタミンKで体脂肪が減るんじゃない?」みたいな仮説です。すごーくざっくり説明すると、
- 骨から分泌されるオステオカルシンって物質が、脂肪とグルコースの代謝をコントロールする働きを持つ
- ビタミンKのサプリには、オステオカルシンの働きをよくする作用が認められている
- ならば、ビタミンKを飲むと代謝が良くなって痩せるんじゃない?
みたいな流れです。ちなみに、オステオカルシンは俗に「若返り成分」とも呼ばれてまして、ちょっと気にしておくといいかもしれません。
ってことで、新たに行われた実験(R)では、「ビタミンKサプリで女性の体脂肪が減るかもよー」って結論になっておりました。参加者は閉経後2年以上経過した55~65歳の女性214人で、肥満ではない健康体の人だけを集めたそうな。閉経後の女性は肥満&骨密度減少の問題に悩まされやすいので、ビタミンKの効果が出やすいかもしれないんですよね。
実験では参加者を2つのグループに分けまして、
- 1日180μgのビタミンK2(MK-7)を飲む
- プラセボサプリを飲む
って感じにランダムで割り当ててます。その期間は驚きの36ヵ月でして、なかなか長期な研究になっております。
でもって、全員の骨密度、体脂肪、炎症レベル、脂肪の代謝などをチェックしたところ、結果は以下のようになりました。
- ビタミンKを飲み続けたグループは3年間で内臓脂肪が約2%減少したのに対し、プラセボ群では約8%増加した
- プラセボグループは体脂肪量が約4%増加したのに対し、ビタミンKを飲み続けたグループは体脂肪量が約2%減少した
- ビタミンKグループはアディポネクチンがわずかに増加したが、炎症レベルには特に影響を与えていなかった
ということで、ビタミンKを飲むことでわずかながらも良い変化が得られたみたい。事前の推測のとおりっすね。
ただし、この結果だけ見て「ビタミンKサプリを飲もうぜ!」とは言いづらいものがあったりもします。というのも、全体的に見ると、
- ビタミンKで良い反応が出てる人と出てない人の差がメチャクチャ激しい
って問題が大きいもんですから。例えば、ビタミンKで良い反応が出てる人はオステオカルシンの平均変化率が35%だったのに、反応が悪い人は8%ぐらいだったんですよ。しかも、反応が悪い人はプラセボグループよりも内臓脂肪が増えてたりもしまして、「これは判断が難しい……」って感じなんですよね。うーん。
もっとも、良い変化があった場合でもほとんどの効果は平均約1~2%ぐらいの差なんで、ダイエットを狙ってサプリを飲むべきかと言われれば微妙ではあります。もしかしたらビタミンKサプリのおかげで体脂肪増加が予防できてるのかなーとも思いますが、これだけだとなんとも言えんですね。
というわけで、この研究を見る限りは「ダイエットのためにビタミンKを飲む必要はなさげ」ってのが結論ですけど、2015年のメタ分析(R)などでは「ビタミンK2のサプリは、閉経後の女性の骨密度を改善して、骨折のリスクを減少させる可能性があるよ!」って結論もありますんで、骨の健康を保つって目的には使えそうな気もしております。気になる方はどーぞ。