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今週末の小ネタ:睡眠パターン超大事、"老い”にポジティブな人、歩幅がころころ変わる人

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

睡眠パターンがバラバラだと、十分に眠っててもメンタルがヤバい

毎日同じ時間に起きて同じ時間に寝ようぜ!ってアドバイスはよく耳にしますが、この教えを守らないと「たとえ睡眠時間が足りてててもヤバいかもだぞ!」みたいなデータ(R)が出ておりました。

 

 

2,100人以上の若い医師を対象にしたテストで、全員が医学部を卒業してから最初の1年間の研修期間を追いかけたらしい。周知のとおり、研修医は仕事のスケジュールが不規則なので、睡眠タイミングの影響を調べるのに向いてるんですな。

 

 

実験では、みんなにウェアラブルデバイスを私て睡眠と起床パターンをチェック。これに加えてうつ病のテストを行ったところ、

 

  • 睡眠のスケジュールがバラバラな者ほど、うつ病のテストで高スコアをお示し、気分の変動も大きかった
  • たとえ睡眠の総量が十分でも、睡眠時間が不規則だとメンタルに問題が起きやすかった

 

みたいな感じだったそうです。たとえ1日8時間ずつ寝ることができたとしても、起床と就寝のタイミングがバラバラだとよくないのではないか、と。確かに不規則な睡眠スケジュールは体内時計を乱すんで、睡眠時間が十分なだけだとリカバリーしづらいのかもですな。

 

 

研究チームいわく、

 

 

今回の結果は、睡眠パターンの一貫性が、うつ病やウェルネスの改善にあたって過小評価されていることを示す。

 

 

ってことでして、心当たりのある方はお気をつけください!

 

 

 

"老い”にポジティブな人は何が違うのか?

不老長寿メソッド」では「老化へのネガティブイメージが老いを促進する!」みたいな話を書いております。メンタルと体はつながりまくってるんで、老いは嫌だなーと思ってると、それがストレスになっちゃうんですな。自己成就的予言と言いますか。

 

 

で、新しい研究(R)では「"老い”にポジティブな人は何が違うのか?」ってとこを調べてくれておりました。まず研究者のコメントを引いておくと、

 

これまでの研究では、50歳の時点で「老い」について肯定的な見解を持っている人は、そうでない人よりも平均して7.5年長生きすることが示されている。

 

心と体はすべて織り交ぜられており、悪いことが起こると信じていると、時とともに人々の意欲はむしばまれ、最終的には健康を維持するためのモチベーションが下がる。

 

とのこと。そこでチームは244人の中高年のコホートを対象に、

 

  • 老いについてどう思っているか?
  • 将来なりたい自分のイメージがあるか?
  • 将来なりたくない自分のイメージがあるか?
  • 将来なりたい自分になり、なりたくない自分を避ける能力があると思うか?

 

といったポイントをチェック。すべての回答ををまとめたところ、

 

  • 将来になりたい自分になれる!って思ってる人ほど、老いの認識もポジティブ
  • 将来になりたくない自分にはならないはずだ!って思ってる人ほど、老いの認識もポジティブ

 

って結果だったそうな。言い換えれば、未来の自分への自己効力感が大事なんだってことで、非常に納得できる結論じゃないでしょうか。

 

 

ちなみに、研究チームは、加齢に対するネガティブな固定観念を打ち破るには、

 

  • 年配の人たちが幸せで健康的な生活を送っている姿を見よ!

 

と提案しておられまして、「ですよねー」って印象でありました。私の場合は、ここ十数年はクリント・イーストウッド先生の精力的な仕事ぶりを見ているおかげで、老いへのネガティブイメージはあんまない気がしております。偉大な先達はありがたいっすな……。

 

 

 

歩幅がころころ変わる人は脳が衰えているかも?

歩行スピードがメンタルの状態を反映するって話が前からありまして、新たな研究(R)も「認知機能の衰えが歩行パターンの変化に現れる!」って結論になってておもしろかったです。

 

 

これは500人の高齢者を対象にしたテストで、みんなの歩行パターンを調べたうえで、そのデータをアルツハイマーの症状と比べたんだそうな。ここでいう歩行パターンってのは、

 

  • 歩くスピード
  • 姿勢のコントロール
  • 歩行のリズム
  • 歩幅の変化

 

といったあたりを見てまして、具体的にどんな傾向が認められたかと言いますと、

 

  • 歩幅の変わりやすさは、認知パフォーマンスの低下と関連しており、アルツハイマー病を70%の精度で当てた
  • 歩幅の変わりやすさは、神経変性疾患における認知・皮質機能の障害を示している可能性がある

 

だったそうです。歩幅が長くなったり短くなったりしがちな人は、もしかしたら認知の機能障害が進んでいる可能性があるんだ、と。うーん、怖い。

 

 

研究チームいわく、

 

歩行変動の増加は、神経変性の疾患における認知機能障害の進行を反映している可能性があ流。特にアルツハイマー病と強く関わっている。

 

とのこと。確かに脳機能が低下すればメンタルもやられるわけで、歩行パターンがいろんな精神機能に関わってる可能性は高そうっすね。気をつけよう……。

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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