味噌は体にいいの?をオーストラリアの研究者が調べた結果
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日本人なら味噌麹!ということで、みんな大好きミソの話です。というもの、近ごろオーストラリア大学から、「ミソはどこまで体にいいのか?」みたいな問題を調べたレビューが出てたもんで(R)。
味噌ってのは日本文化に欠かせない食品ながら、現在まではそこまで多くの調査が行われているわけではなく、「どこまで健康にいいのかなー」ってのはまだよく分かってはないんですよね。味噌には塩分も多いし、その点で体に悪いのでは?って考え方もありますしね。
で、本稿ではミソの歴史とか、ミソにふくまれる細菌の種類とか、いろんな観点から語ってくれてるんですけど、ここでは誰もが気になる「ミソと健康」について要点をまとめてみましょう。
- 腸内細菌の重要性は疑いないが、発酵食品がどのようにして健康上のメリットをもたらすのかはまだ謎。ただし最近では、発酵食品に含まれる乳酸菌が産みだす物質が、ヒトの免疫系にシグナルを送ることがわかってきた
- 細菌だけでなく、発酵食品に含まれる食物繊維の存在も大きい。例えばオリゴ糖は米や大豆を含む多くの食品に含まれ、スクロース、ラフィノース、スタキオースなどが腸内細菌のエサになってくれる
- 味噌と健康の調査は日本の観察研究が多く、2017年の研究によれば、以下の傾向が認められている。
- 納豆や味噌を中心とした発酵食品の摂取量が多い人ほど、死亡リスクは低い傾向がある
- 塩分が多いミソ汁を飲んでも高血圧の発症には結びつかない可能性がある
- ミソ汁をよく飲む人ほど胃食道逆流症の症状が軽い
- 発酵大豆製品の健康効果に関するレビュー(2019年)でも、「そもそもミソや納豆は栄養があるし、糖尿病を予防したり、抗酸化や抗炎症作用があったり、癌と高血圧のリスクも下げてくれそう!」って話になっている。
ってことでして、全体的には「やっぱミソ汁よさそう!」って結論になってますね。全体的にみれば観察研究ばっかりなんで、そこまでハッキリしたことも言えない段階ではありますが、ミソ汁好きとしてはうれしい結果ですね。
ちなみに、現段階では麹や味噌の効果をヒトで調べたラボ実験はなくて、いまんとこは動物実験がメイン。例えば、
- マウスを使った研究では、味噌を食べさせた後で放射線を当てたところ、腸粘膜のダメージが減少した
- 腹部の放射線治療で投与される放射線量は、腸の上皮内層を損傷することが確認されています
- 味噌を摂取したマウスは、ミソを含まない食事を与えたマウスと比較して、この腸のダメージが減った。また、長期間発酵させたミソの方が効果は大きく、中でも180日の味噌の効果が最も大きかった
- ラットに高塩分食と高塩分のミソ食を与えた実験では、ミソを摂取したラットは脳梗塞の発症が抑えられ、脳や腎臓の傷害も抑制された
といった報告がされてまして、これがヒトでも同じ効果が見込めるなら、ちょっとすごいよなーとか思うわけです。
が、この研究ではミソのリスクについても触れられてますんで、最後にその点も押さえておきましょう。
- 発酵食品は一般に有用だが、好ましくない細菌のキャリアにもなる。例えば、マイコトキシン(真菌の毒素)、細菌の毒素などによる汚染はあり得る
- カビ毒(アフラトキシン)はヒトに対して発がん性を持ち、製造よりも前に畑や貯蔵庫で原材料を汚染する可能性がある
- 韓国の発酵大豆ペーストであるメジュは、発酵プロセスでアフラトキシンを除去しないため、リスクとなる可能性がある
- 日本の伝統的な発酵食品の安全性レビューでは、麹菌、ミソ、醤油、日本酒からアフラトキシンは検出されなかった
- 発酵食品にはバクテリアの毒素が含まれている場合もある。例えば、セレウス菌は104 cfu/g以上になると、下痢や嘔吐の胃腸症状を引き起こす毒素を産生する
- 一部の発酵食品からはヒスタミン(アレルギーを引き起こす物質)が検出されやすいことが知られている。ただし、日本のスーパーマーケットで購入された8つの日本の味噌サンプルを調べた研究では、ヒスタミンが含まれているものはなかった
というわけで、全体的に見れば汚染リスクの心配が目立ちますね。まー、これについては日本で作られた商品であれば、そこまで心配しなくても良い気はしますけども。
総合的に見れば、まだまだデータは足りていない状況ながら、やはり味噌には大きなポテンシャルがあると考えて良さそうっすね。個人的にも今後も積極的に飲んでいくつもりであります。