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ジェスチャーを使いこなすだけで知性が上がるんだぞ----「拡張された精神」

 

というわけで、近ごろちょこちょこ紹介している「拡張された精神」って本の覚え書きの続きです。

 

 

前回まで「人間の知識は身体に埋め込まれているから、肉体のサインに敏感になると知性をフルに発揮できるよ!」って話をしてまして、今回はその続きで、

 

  • ジェスチャーを使いこなそう!

 

ってポイントをチェックします。このブログでもジェスチャーの力についてはこのブログでもなんどか取り上げてますが、なにかを学ぶときや思考力を使うときに手を動かしながら行うと、効率が上がるんですよ。

 

 

本書でもジェスチャーのメリットがいくつも紹介されてまして、だいたい以下のようになっております。

 

  1. 認知機能の向上 :まず、ジェスチャーは思考力を高めるとのこと。研究によると、手を動かすことで抽象的で複雑な概念の理解が進み、認知的負荷が軽減され、記憶力が向上するという結果が出てるそうな。




  2. コミュニケーション能力の向上:ジェスチャーを使うと、対面でもビデオでも、より流暢に、より明確に話すことができ、より論理的で分かりやすい形で情報を伝えられるとのこと。

    と同時に、ジェスチャーを使って詳細を伝えれば、相手の注目が集まり、集中力が維持され、聞き手の理解度も深まるそうな。




  3. 説得力が上がる:ジェスチャーは、相手を説得したり、仲間を集めたりする必要があるときにも効果大。2019年に行われた研究では、起業家が資金を集める際に「ジェスチャーを巧みに使ったピッチ」を行った人は、そうでない人よりも成功する確率が12%も高かったとのこと。

    その理由としては、体を動かすことでリスターの目をひきつけ、ジェスチャーのおかげで概念的なアイデアが伝わりやすくなったのが大きいらしい。


  4. メッセージが記憶に残りやすい:最後に、ジェスチャーを使ったコミュニケーションは印象に残りやすいというメリットもあります。被験者にスピーチ動画を見てもらった研究では、ジェスチャーを交えたスピーチを見たグループは、その直後に内容を思い出す確率が33%アップ。

    視聴から30分が経過した時点でも、ジェスチャーを伴ったスピーチのほうが、ポイントを記憶している率が50%以上高かった。

 

いつもより両手を大きく使うことで脳の回転があがり、コミュニケーション能力も高まり、結果として話がうまい感じになるんだ、と。想像するだけでも、じっとしながらしゃべる人には注意が向きにくいですもんね。



それでは、どうすればジェスチャーのメリットを享受できるのか?ってことですが、特に難しい話ではなくて、みんなが日常的にやっているようなことを、あらためて意識して使うだけです。具体的な事例をあげると、こんな風になります。

 

  • 数字:もっとも基本的なジェスチャー。なにか数字を言うたびに、その数を指で示せばOK。シンプルながらボディランゲージに動きと暖かさが加わり、会話の中で非言語的なアンカーの役割を果たす。

 

  • サイズ感:話のなかで何らかの物体を表現するときは、そのサイズをそのまま腕で表現する。

 

  • 強調:話のなかでポイントが出たら、指を一本立てるなどして強調を表す。それだけでも注目を集め、聞き手の集中力があがる。

 

  • 握りこぶし:手をグーにしたまましゃべり続け、エネルギッシュな印象を醸し出すパターン。

 

  • すべて感:両腕を大きく広げて回して、すべてのアイデアを包括しているかのような感覚を出すジェスチャー。ボディランゲージに温かみと壮大さを加える。

 

  • 指差し:相手に指をさすことで、誰かの注意を引いたり、要点を伝えたりするジェスチャー。ただし、たいていの人は指をさされるのが嫌いなので注意が必要。

 

  • 一部だけ:なにかをつまむような動作をして、アイデアの特定の部分を示すジェスチャー。何か全体的なことを話しているときに、概念の一部だけ別物であることを示す。

 

  • 成長:手や腕を上に動かすと、何かの成長や増加を表す。予想される成長や興奮レベル、何かが向かっている方向を示すために使える。

 

  • あなたと私:相手や自分のことを話すときに、話し手と聞き手に向けて手を差し出すジェスチャー。それだけでもお互いのなかに親近感を生み出すことができる。

 

  • これとあれ:2つの異なる考えや物事を分けたいときにに、例えば「私たち」と言うときには左手を使い、「彼ら」と言うときには右手を使い、「私たちは彼らとは全く違う」といったことを示す。

 

ってことで、あらためて書き出してみると当たり前なジェスチャーばかりですが、これらの動作が実は私たちの思考を形作っているってとこを意識している人は少数派じゃないでしょうか。お試しあれー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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