腸によく効くナイス食材「レジスタントスターチ」は体重を減らすのにも役立つの?
レジスタントスターチに関するご質問をいただきました。
鈴木さんは前からレジスタントスターチを取り上げていますが、まだダイエットへの効果については触れていなかったように思います。レジスタントスターチのダイエット効果についてはどう思われますか?
おっしゃるとおり、このブログでは2016〜2017年ごろにレジスタントスターチを取り上げておりました。レジスタントスターチってのは、その名のとおり消化管では消化吸収されない性質を持ってまして、
- カロリーとしては体内に吸収されない
- 大腸で発酵して短鎖脂肪酸を生成し腸内環境を改善する(かもしれない)
みたいな動きをするんですよ。ほぼ食物繊維と同じですね。
つまり、レジスタントスターチをふくむ食品は、血糖値を下げてくれたり、腸内フローラの改善にも役立ってくれる可能性が高いわけですが、果たして肥満対策には役立つのか?ってことで、参考になりそうなデータを見てみましょう。
- まず参考になるのが2015年のナラティブレビュー(R)でして、レジスタントスターチと体重管理についてのデータをまとめてくれております。
これによると、健康な被験者とインスリン抵抗性が悪化した被験者を対象とした4〜12週間の研究では、レジスタントスターチと普通のデンプンを比べた場合、レジスタントスターチを食べても食事の総カロリー摂取量は減らず、体重も減少しないと報告されたとのこと
- アラバマ大学のチームが行った最近の系統的レビューでは、11件の研究について分析を行った。体組成を評価していたのはそのうち6件で、レジスタントスターチの投与量は1日あたり13~40gだった。
その結果、通常のデンプンと比較して、レジスタントスターチは血糖値のコントロールとインスリン感受性にメリットをもたらすが、「体重と体組成には直接的な効果はない」と結論づけられたとのこと(R)
- ペニントン生物医学研究センターのチームが発表した2020年の系統的レビュー(R)では、糖尿病の予備軍にレジスタントスターチに摂取してもらったところ、「レジスタントスターチで食欲や食事量を減らしたりすることはできない」と結論づけたとのこと
みたいになってますね。どうやら、全体的に見るとレジスタントスターチは肥満の予防には役立たない感じじゃないででしょうか。
ただ、上述の2015年のナラティブレビューでは、こんな指摘もされております。
レジスタントスターチの摂取により、便の総量、内腔の厚さ、マイクロバイオームの量が増加すると、総体重が過大評価される可能性がある。
(中略)
ヒトでの急性期の研究は、レジスタントスターチが総カロリーの消費量に及ぼす影響を観察するには短すぎる。
レジスタントスターチが腸内環境に影響したせいで体重が重めに出ちゃう可能性もあるし、まだまだ短期の実験がメインなのでレジスタントスターチがカロリー消費におよぼす影響も無視できないのではないか、と。それはありますよねー。
まぁ全体的に見れば、「レジスタントスターチのダイエット効果は期待しない!」と言えそうですが、とりあえず「腸内環境が改善して、そのおかげで体型にも影響が出たらいいなぁ……」ぐらいに受け止めておくといいんじゃないでしょうか。
ちなみに、レジスタントスターチを摂取する方法としては、
- 炊いた白米や茹でたジャガイモをを4℃で24時間冷やしてから再加熱する
- グリーンバナナのような食品を摂取する
といったあたりから着手していただければと思います。個人的には市販のレジスタントスターチを使うことが多いですが。