筋トレの「フリーウエイト」と「マシントレーニング」はどっちが効果があるの?のメタ分析
筋トレのお悩みに、「フリーウエイト」と「マシントレーニング」はどっちがいいの?ってのがよくありますな。フリーウエイトはダンベルやバーベルを使ったトレーニングで、マシントレーニングはジムにある専用の機械を使う方法っすね。
一般に両者には一長一短があると考えられてまして、
- フリーウエイト:体が固定されていないので不安定になり、そのぶんだけいろんな筋肉を刺激できるから効果が高い! ただし、不安定なせいでケガも多い
- マシントレーニング:体を固定するので、狙った筋肉を集中して刺激できる!ただし、そのぶんだけ体を安定させるスキルは身につかない
ってあたりが代表的なポイントじゃないでしょうか。私は気分でどっちも使ってるんですけど、マシンのほうが安心してできるので好きかなーって感じですね。
では、つまるところどちらがいいのか?ってことで、そこらへんを比較したメタ分析(R)が出ておりました。フリーウェイトとマシンベースの筋トレは、筋肉のサイズ、筋力、パワーの改善に違いが出るのか?って問題ですな。
分析の対象になったのは16件の研究で、そのうち6件が筋力(260人)、3件が筋肉量(77人)、8件がパワー(197人)をあつかっておりました。個人的にも、「フリーとマシンはどっちがいいのかな……」と思うことがあるんで、精度が高めな調査をしてくれるのはありがたいですねー。
ということで、まずは分析の結果をだだーっと並べてみましょう。
- フリーウェイトでトレーニングをすると、フリーウェイト用の筋力が向上する(そりゃそうでしょうね)
- マシンでトレーニングをすると、マシン用の筋力が向上する(これも、そりゃそうでしょうね)
- ニュートラルな筋力を計測した場合は、マシンでもフリーウェイトでも筋力の向上は同じぐらいになる
- パワー(効果量=0.049)と筋肉の成長(効果量=0.01)については、フリーウェイトとマシンのあいだに違いはなかった
ってことで、全体としてはマシンとフリーウェイトのあいだに大きな差はなし。フリーウェイトを使ったトレーニングはフリーウェイトの筋力アップに優れ、マシンを使ったトレーニングはマシンベースの筋力アップに優れているという、わりと直感的にもフィットする結論になってますね。
まぁパワーリフティングをしてる人であれば、このようなマシンとフリーウェイトの差は気にしたほうがいいんでしょうけど、たいていはスクワットやベンチプレスの1RMを常に気にしながらトレーニングしてるわけじゃないでしょうからねぇ。日常に使える機能的な体を手に入れたい!(階段をサクサクのぼるとか、重い買い物をスイスイ運ぶとか)ぐらいを目標にしている方であれば、このメタ分析で出た違いは気にしなくてもいでしょう。
ただ、この分析の注意点としては、
- 筋肉量アップについては3つの研究しかベースにしておらず、効果量の95%信頼区間は-0.52~0.55だった。つまり、人によってはマシンのほうがいいかもしれないし、人によってはフリーウェイトのほうがいい可能性は十分にあるので、このデータだけで結論を出すのは難しい。
ってのがあるのでご注意ください。個人的には「おそらくマシンとフリーウェイトで筋肉の増え方に違いはなさそうだな」と思ってますけど、筋肉量についてはこのメタ分析だけだとなんとも言いづらいなーってとこですね。
また、この研究はあくまで筋力・筋肉量・パワーの比較しかしてないんで、「フリーウェイトのほうがケガが多い?」とか「フリーウェイトのほうが安定感が鍛えられる?」みたいなポイントについては判断できなかったりします。そこもご注意ください。
とりあえず、この研究を見た雑感としては、
- アスリートでもない限りは、マシンかフリーウェイトかはこだわらなくてよさげ
- というか、マシンかフリーウェイトかにこだわるよりは、自分が好きなタイプのトレーニングを続けたほうがよさげ
- フリーウェイトにケガが多いかどうかを比べた研究はないものの、事故の報告が多いのは間違いないので、初心者はマシンを使ったほうが無難かも
ってところでして、好きな手法を好きなように選べばいいやーって気になりましたね。