腕立て伏せが1回もできない! そんな時に試したい「インクライン・プログラム」
こんなご質問をいただきました。
30代の女です。恥ずかしながら1回も腕立て伏せができず、検索をしたら「膝つき腕立て伏せがいい」と出てきたので、試してみたらこれもできませんでした。もうあきらめるしかないのでしょうか……。
ということで、確かに女性の方は腕立て伏せができないケースが多いですよね。これはいたしかたない話ではありまして、女性は筋繊維が小さくて、上半身の筋力は平均で男性の50%ぐらいですから(R)。1回もできなかろうが、別に恥ずかしいことではないです。
また、そもそもの問題として、腕立て伏せってのが、実は見た目よりも難しいエクササイズだというのもありますね。パット見はめちゃくちゃシンプルな動きのように見えるんですが、実際には全身の筋肉を一度に鍛える動きなんで、めちゃくちゃ難しいんすよ。基礎的なエクササイズに見えるので、なめられがちなところがあるんですが(笑
で、 腕立て伏せができない原因ってのはいろいろあるんですけど、私がいろんなクライアントさんを見てて思うのは、
- 腕立てができない人の大半は、尻が落ちて、腰が反りまくっているなー
みたいなことです。ご存じのとおり、腕立て伏せってのは、腰のあたりに鉄板が入ってるぐらい体を一直線にして行うのが基本なんですが、体幹が育ってないせいで尻が下がっちゃうわけっすな。くり返しなりますが、腕立て伏せってのは全身運動なんで、これだとなかなか腕立て伏せはできないし、腰痛の原因にもなりますんで、くれぐれもご注意いただきたいところです。
ってことで、腕立て伏せをするためには、腕、体幹、脚の筋肉がまんべんなく強くなきゃいけないわけですが、とはいえ女性が腕立て伏せができないわけではなく、段階を追って地道に負荷を上げていけば必ずできるようなりますのでご安心ください。この場合、通常はヒザつき腕立て伏せからはじめるのがセオリーですけど、それも難しいようでしたら、以下のように負荷を上げていくのがおすすめです。
- まずは「ウォールプッシュアップ(壁腕立て伏せ)」からスタート。これを、全身を一直線にキープしたまま10回×3セットができるようになるまで行う。セット間の休憩は90秒〜120秒(トレーニングの目安は週3回ぐらい)
- 上をクリアしたら、今度は「インクラインプッシュアップ(机かベンチに手をついて行う腕立て伏せ)」に移動し、全身を一直線にキープしたまま10回×3セットができるようになるまで行う。セット間の休憩は90秒〜120秒(トレーニングの目安は週3回ぐらい)。もしこれが無理だったら、手の位置を上にあげてやり直す(ベンチが無理だったら、それよりも高い机で行う)
- 上の用量で、どんどん手の位置を下げていき、床に着くまで同じことをくり返す。
まぁヒザつきの腕立て伏せでもいいんですが、私見では、壁腕立て伏せからスタートしたほうが「全身を一直線に保った感覚」を養いやすいんじゃないかなーと思っております。
ただし、人によっては、これでも腕立て伏せができないケースはあったりします。インクラインプッシュアップから床に移ったとたんに、急に腕立て伏せができなくなっちゃうことが珍しくないんですよね。その場合は、以下のエクササイズなどいかがかと。
- 床に手をついた腕立て伏せの姿勢から、ゆっくりと体を沈めていく
- 「これより体を下げたら、もう体を押し上げられなくなる!」と感じる最下点を見つける。最下点が見つかったら、その位置で3~5秒姿勢をキープして最初の姿勢にもどる
- 上記を5〜10回くり返す
この作業をくり返していくと、少しずつ体を深く沈められるようになっていき、やがて完璧な腕立て伏せができるようになるはず。もちろん、そうそうテンポよく進化はしていかないんで、上記のプログラムを実践する場合は、ゴールを細かく設定してモチベーションを保つことをおすすめします(最初は壁からはじめて、次は棚 → 押入れの棚 → 机 → 脚立……みたいに、インクラインの高さを細かく区切ってみたりとか)。
というわけで、腕立て伏せがなかなかできないなーとお悩みの方はお試しをー。