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頭が良い人ほど勉強の時間を削ってでも運動してるぞ!という研究の話


 

このブログをお読みの方であれば、「睡眠を削って勉強する!」「運動を削って勉強する!」「適当な食事で済ませて勉強する!」ってやり方がよくないのはご存じのとおり。勉強に集中するために食事・睡眠・運動を犠牲にしても、なんらメリットがないどころか、逆に成績が下がってしまうもんですから。

 

新しい研究(R)も同じ問題を指摘していて、「成績が優秀な医学生はどんなライフスタイルを送っているのか?」って疑問を掘り下げてくれております。特に勉強が大変なことで有名な医学生を対象にして、本当に優秀な人たちは、普段からどのような毎日を送っているのかを調べたわけです。

 

これはノバ・サウスイースタン大学の調査で、141人の医学生を集めて、食事や運動習慣と成績との関連を調査したもの。参加者の年齢は25歳ぐらいで、男性38%、女性60%だったのこと(残りは未回答)。

 

みんなの食事については、18項目からなるアンケートで判断。学校の成績については、GPA(欧米の高校や大学などで一般的に使われている成績評価の指標)で評価しております。

 

では、分析の結果を見てみましょうー。

 

  • ソフトドリンクの使用量

    • 成績が悪い学生の33%は、砂糖入りのソフトドリンクを1日1回飲んでいた。

    • 成績が普通ぐらいの学生の36%は、砂糖入りのソフトドリンクを週1回未満しか飲んでいなかった。

    • 成績が良い学生の場合は、砂糖入りのソフトドリンクを週1回未満しか飲まない人の割合は42%になった。

 

  • ファストフードの摂取量

    • ファストフードを週に1回食べる人の割合は、成績が悪い学生は33%だったのに対し、成績が良い学生は28%だった。

    • 野菜を1日1回以上食べる人の割合は、成績が悪い学生の34%だったのに対し、成績が良い学生は40%だった。

 

  • 運動の量

    • 運動の量については、成績が悪い学生の52%が、ウォーキングや家事などの軽い運動を週に1~3回していた。

    • 成績が良い学生の場合は、40%が、ウォーキングや家事などの軽い運動を、週に4~7回していた。
    • サイクリングや水泳のような中ぐらいの頻度については学業成績との関連がみられなかった。

    • 筋トレやサッカーなどのハードな運動については、成績が良い学生の40%が週に4~7回もやっており、この割合はLAA学生の24%やMAA学生の27%より有意に高かった。
    • 全体的には、成績が良い学生ほどハードな運動をしていた。

    • 全体的には、成績が良い学生ほど勉強の時間を減らしてでも運動をしていた(成績が良い学生は42%、成績が悪い学生は38%)

 

  • ストレス

    • 成績が悪い学生は、ストレステストの平均が7.23だったのに対し、成績が良い学生の平均は6.16だった。

    • 成績が悪い学生の19%は自分のメンタルヘルスにまったく満足しておらず、一方で成績が良い学生の72%は自分のメンタルヘルスに満足しまくっていた。

 

ってことで、成績が良い学生ほど野菜を食べるし、体に悪いものを食べないし、ハードな運動をしまくるしで、とにかくナイスなライフスタイルを送っているわけですな。特に成績が良い人は勉強を止めてでも運動するってのが面白いですな。

 

研究チームいわく、

 

成績が良い学生ほど運動を大事にしている。勉強する時間を犠牲にしてでも運動することが、学力にプラスの影響を与える可能性があることを裏付けている」と考察している。

 

とのこと。肉体が整っていれば勉強への集中力とモチベーションが上がるだろうし、それだけ成績が良くなるのはわかりますねぇ。運動をすると脳の効率が上がって、結果として減らした勉強時間も補ってあまりあるメリットを得られるわけですね。

 

ちなみに、この研究では、参加者のライフスタイルをチェックするために、以下のようなテストを使っております。気になる方は、こちらもお試しください。

 

 

ライフスタイル質問票

  • 食事: これらの質問に答える際には、過去1年間の食生活について考え、以下の食品をどのくらいの頻度で食べるかを示してください。すべての食事、スナック、および外食を含めてください。

  • Q1.レタスまたは緑の葉野菜サラダ
    • 週に1回未満: 0
    • 週に1回: 1
    • 週に2-3回: 2
    • 週に4-6回: 3
    • 1日1回: 4
    • 1日2回以上: 5

  • Q2.果物(新鮮、缶詰、冷凍を含むが、ジュースは含まない)
    • 週に1回未満: 0
    • 週に1回: 1
    • 週に2-3回: 2
    • 週に4-6回: 3
    • 1日1回: 4
    • 1日2回以上: 5

  • Q3.高繊維シリアル(レーズンブランやフルーツ&ファイバー、調理されたオートミール、全粒粉パンなど)
    • 週に1回未満: 0
    • 週に1回: 1
    • 週に2-3回: 2
    • 週に4-6回: 3
    • 1日1回: 4
    • 1日2回以上: 5

  • 食事の総スコア (Q1 + Q2 + Q3): _____
  • 食事カテゴリースコア:

    • 食事スコア 0-5 の場合: 0
    • 食事スコア 6-10 の場合: 1
    • 食事スコア 11-15 の場合: 2

 

 

  • 運動: これらの質問に答える際には、以下の活動を少なくとも30分間連続して行った日が、週に何回あったかを示してください。
  • Q1.軽い運動(以下を含む):軽い庭仕事および軽い家事(例:掃除、掃除機がけ)、散歩(例:犬の散歩)、ボウリング、釣り、大工仕事、楽器演奏、ボランティア活動

    • 0回/週: 0
    • 週に1-3回: 2
    • 週に4-7回: 4
    • 週に8回以上: 6
  • Q2.中等度の運動(以下を含む):速歩、自転車、スケート、水泳、カーリング、庭仕事(例:耕作、雑草取り、掘削)、太極拳、または中等度のエクササイズクラス

    • 0回/週: 0
    • 週に1-3回: 3
    • 週に4-7回: 6
    • 週に8回以上: 9
  • Q3.激しい運動(以下を含む):ランニング、自転車、クロスカントリースキー、ラップスイミング、エアロビクス、重い庭仕事、筋トレ、サッカー、バスケットボール、または他のリーグスポーツ

    • 0回/週: 0
    • 週に1-3回: 4
    • 週に4-7回: 8
    • 週に8回以上: 12
  • 運動の総スコア (Q1 + Q2 + Q3): _____

 

  • 運動カテゴリースコア:

    • 軽い運動のみの場合: 0
    • 中等度の運動を含む場合: 1
    • 激しい運動を含む場合: 2

 

 

  • アルコール消費: 以下のタイプのアルコール飲料を平均して1週間に何杯飲むかを示してください。
  • ワイン(飲料[3-5オンス]):_____
  • ビール(飲料[10-12オンスまたは1本]):_____
  • スピリッツ(飲料[1-1½オンス]):_____
  • アルコールの総スコア(ワイン+ビール+スピリッツ):_____
  • アルコールカテゴリースコア:
    • アルコールスコア14以上の場合: 0
    • アルコールスコア8-13の場合: 1
    • アルコールスコア0-7の場合: 2

 

 

  • 喫煙: 以下にあなたの喫煙習慣を示してください。

  • 喫煙者ですか?
    • はい : 0
    • いいえ : 2
    • いいえの場合、かつて喫煙したことがありますか? はい: 1/いいえ: 2

  • 喫煙の総スコア(0, 1, または 2):_____
  • 喫煙カテゴリースコア:_____(喫煙の総スコアと同じ)

 

 

  • 生活ストレス: この質問に答える際には、あなたの日常生活のストレスレベルに最も合致すると思われる番号を選んでください。

    • 1: 非常にストレスを感じる
    • 2: わりとストレスを感じる
    • 3: たまにストレスを感じる
    • 4: あまりストレスを感じない
    • 5: ほぼストレスを感じない
    • 6: 全くストレスを感じない

  • ストレスの総スコア:_____
  • ストレスカテゴリースコア:

    • 生活ストレスが1または2の場合: 0
    • 生活ストレスが3または4の場合: 1
    • 生活ストレスが5または6の場合: 2

 

SLIQスコア = 食事カテゴリースコア + 運動カテゴリースコア + アルコールカテゴリースコア + 喫煙カテゴリースコア + ストレスカテゴリースコア

 

 

で、このスコアについては「この点数より上ならOK!」みたいな話はないんですが、だいたい7点以上なら「悪くない感じ!」だと言えましょう。逆に総スコアが5点を下回ったら、「ライフスタイルの改善が必要かもなー」ぐらいになるかもしれません。どうぞよしなに。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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