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原始人は肉よりも野菜を食べていた?パレオダイエットの誤解を解く

 


 私が実践しているパレオダイエットは、「石器時代のような食事をしようぜ!」ってのがポイントなわけです。人体は600万年ぐらい石器時代の環境に適応し続けてきたので、この時代に食べられていたものを食べた方が体に良いだろうって考え方ですね。

 

が、ここで問題になるのが、「原始人って何を食べてたの?」って問題であります。たとえば、 パレオダイエットの始祖であるローレン・コーダイン博士は、狩猟採集民たちの食事を調べあげて「肉は大事!かなり大事!」と結論づけてまして、そのせいでネット上のパレオダイエット系記事などでは「パレオダイエットは肉食メインの食事法なのだ!」といった主張が展開されることも少なくないわけです。個人的には、現代のパレオダイエットは肉を強調しすぎだろうと思ってますが、原始人の食生活を調べるのはめっちゃ難しいので、判断しづらいんですよね。

 

ってことで、新たな研究(R)では、「正味、原始人は何を食べてたの?」って疑問を掘り下げてくれていて参考になりました。古代の人類は大型動物を狩りまくって、マンモスのステーキを食べていたはずだ!みたいなイメージが、どこまで正しいのかって問題ですな。

 

これは現在のモロッコにあるタフォラルト洞窟に埋葬された死者を調べた研究で、13,000年から15,000年前に生きていた旧石器時代の狩猟採集民(イベロマウルス人)の食生活をチェックしたものです。ざっくり言うと、死者の骨や歯に保存されている痕跡を分析してまして、旧石器時代の食生活を調べるために、同位体法でガッツリと植物性成分を調べたのは、おそらくこの調査が初めてなんじゃないでしょうか。

 

それでは、分析の結果を見てみましょうー。

 

  • 調査された遺骨に含まれる植物の痕跡が、食事から摂取するタンパク源として占める割合は、植物の栽培と農耕が最初に記録されたレバントの初期の農耕民に見られる割合とほぼ同じ。

 

  • 調査された遺骨には、当時の狩猟採集民の遺骨に見られるよりも多くの虫歯があった。このデータは、イベロマウルス人が、野生の穀物やドングリのような「発酵可能なデンプン質の植物」を摂取していたのだろうと思われる。

 

  • 同位体法では、食べた植物の種類はわからないが(量はわかるが)、遺跡からは炭化した甘いドングリ、ピスタチオ、松の実、野生のオート麦、豆類などの植物が見つかっているので、だいたいこんな感じのものを食べていたのだろうと思われる。

 

というわけで、この研究をざっくり見てみると、原始人はめっちゃ植物を食べまくっており、どちらかと言えば肉よりも植物がメインなのだと思われるわけですな。といっても、イベロマウルス人は決して植物ばかり食べていたわけではなく、ヒツジやガゼル、古代の馬のような肉もそれなりに食べていたっぽいとのこと。とはいえ、植物性の食物への依存はかなり高まったんだろうなぁって感じですね。

 

もちろん、この研究は、特定グループの原始人しか調べてないので、すべての原始人が植物メインの食事をしていたかどうかは不明であります。とはいえ、2024年の1月にも似たような調査(R)が発表されてまして、9000年から6500年前に生きていたペルー人24人の遺骨を分析してみたら、

 

  • 原始の食生活は80%が植物性、20%が肉!

 

って結論になったそうな。こちらも原始人は野菜をメインに食べていたって話でして、似たような傾向が見られますね。

 

まぁ、そもそも肉食の痕跡ってのは、目に見える形で残すケースが多いんで(殺された動物の骨とか)、「原始人=肉食メイン」みたいなイメージができあがりやすいですからね。その陰に隠れて、従来の研究では、植物食が目立ちづらくなってたんでしょうな。

 

ってことで、正しいパレオダイエットってのは、大半のエネルギーを肉よりも植物から摂取するのが正しいのだろうと思われる次第です。もちろん、原始人が食べていた食材のほとんどは今日では手に入れることができませんで、 現代のニワトリ、ウシ、ヒツジ、ヤギは、野生の祖先とは遺伝的に異なるし、 旧石器時代の果物は現代のものより小さくて酸っぱいし、原始の野菜はまずくて嚙みづらいしで、原始の食事をガチで再現するのは不可能であります。

 

そこはどうしようもないんだけど、とりあえず「できるだけ正しいパレオダイエットは野菜がメインだ!これは原始人の調査からも正しそうだ!」って認識は持っておきたいもんですな。どうぞよしなに。

 


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