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今週の小ネタ:プロバイオティクスで本当に痩せるのか?発酵乳製品は、メンタルにもいいのかも?メラトニン+カフェインで運動パフォーマンスは上がるのか?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

プロバイオティクスで本当に痩せるのか?というメタ分析の話

「腸内環境を整えれば痩せる!」みたいな話は、ダイエット界ではもはや定番。確かに、腸内細菌は代謝や食欲、炎症に関わっているので、となると「腸内細菌をいい感じにすれば、体重も落ちるのでは?」と思いたくなるわけです。

 

では、実際のところプロバイオティクスはダイエットに効くのか?ということで、新しいメタ分析(R)が出ておりました。

 

今回の研究は、過体重または肥満の成人を対象にしたランダム化比較試験12件をまとめたもの。参加者は合計964人で、主にアジア圏、とくに東アジアのデータが中心になっております。

 

実験の中身は、単一菌または複数菌のプロバイオティクスを12週間摂取するというもので、使われた菌は、おもに乳酸菌系が中心だったそうな。その上で、「プロバイオティクスを飲んだ人と、飲んでいない人で体重や体脂肪がどう変わったのか?」を見たわけですな。

 

で、その結果がどうだったかと言いますと、プロバイオティクスには一応の効果が見られてまして、

 

  • 体重:−0.52kg
  • BMI:−0.22
  • 体脂肪率:−0.59%
  • ウエスト周囲径:−0.3cm

 

みたいな効果が出てたらしい。つまり、プロバイオティクスを12週間飲むと、プラセボに比べて体重が約500gほど減り、体脂肪率やBMIも少し改善したってことですね。わりと明確な違いが出ましたな。

 

ただし、ここでプロバイオティクスに飛びつくべきかというと難しいところで、体重−0.52kgってのはダイエット効果としてはかなり小さいですからねぇ。日々の水分量や食事量、便通の違いでも普通に動くレベルだし、「見た目が変わった!」と感じるほどのインパクトではないでしょうな。

 

あと、ウエストサイズも−0.3cmなので、メジャーの当て方だけで変わりそうなレベル。体脂肪率−0.59%も悪くはないですが、プロバイオティクスだけで体型を変えるほどの力があるとは言いにくいですな。つまり、今回の結論は「プロバイオティクスは体重や体組成を少し改善するかもしれないけど、ダイエットの主役にはならない」ぐらいの感じっすね。

 

この結果は、過去のメタ分析ともだいたい一致してまして、これまでの研究でも、プロバイオティクスやシンバイオティクスは、体重、内臓脂肪、BMI、体脂肪率などをわずかに改善する可能性が報告されてるんですよね。なので、「まったく効かない!」というよりは、「効くとしても小さい」ぐらいの評価になるんでしょう。まぁ腸内細菌は複雑すぎるんで、たんに乳酸菌を入れたところで、腸内の生態系が都合よくダイエットに役立つわけじゃないんでしょうな。

 

とはいえ、便通が乱れやすい人、食生活が偏りがちな人、発酵食品をあまり食べない人なら、プロバイオティクスを試してみるのは全然アリだし、その結果として体重にも良い影響が出たらいいなー、ぐらいのノリで乳酸菌を使ってみるならいいんじゃないでしょうか。

 

 

 

発酵乳製品は、メンタルにもいいのかも!

ヨーグルトや低脂肪チーズを食べていると、うつリスクが下がるのでは?」という観察研究(R)が出ておりました。

 

こちらは、平均78歳の男女966人を対象にした前向きコホート研究で、

 

  1. 最初に食事内容をチェックして、「この人たちは普段どれぐらい乳製品を食べているのか?」を調べる。
  2. その後、みんなのメンタルや認知機能の変化を追いかける。

 

みたいなデザインになっております。そのうえで、3年後にはうつ症状の発生をチェックし、5年後には認知症の発症リスクも見たところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • ヨーグルトや低脂肪チーズをよく食べていた人ほど、うつ症状のスコアが低く、うつリスクも低い傾向が見られた。つまり、「発酵乳製品を日常的に食べている高齢者は、気分の落ち込みが少ないかも?」みたいな感じ。
  • ただし、発酵乳製品を食べているからといって、ストレス、認知機能、認知症リスクが明らかに改善する、ということはなかった。
  • 一方で、牛乳のような発酵してない乳製品については、うつリスクとの明確な関係は見られなかった。

 

ということで、ヨーグルトやチーズのような発酵食品であれば、もしかしたらメンタルが改善する可能性があるわけっすね。ここらへんの食品は、腸内細菌に良い影響を与える可能性があるし、タンパク質、カルシウム、ビタミンB群みたいな栄養素も豊富なんで、そのおかげでメンタルが改善する可能性はあるんでしょうな。

 

もちろん、これは観察研究なので因果関係まではわからないし、さらに、食事内容のチェックが研究開始時の1回だけだった点にも注意が必要なんですが、「発酵食品は、なんとなくメンタルにも良いかも?」って仮説には、それなりの説得力を感じるわけです。なので、ためしに「ヨーグルトや低脂肪チーズを食事の選択肢に入れておく」のはアリでしょう。特に高齢になると、タンパク質不足や食事の単調化が起きやすいので、悪くないんじゃないかと。

 

 

 

メラトニン+カフェインで運動パフォーマンスは上がるのか?

このブログでよく出てくるサプリの二巨頭と言えば、メラトニンとカフェインでしょう。カフェインは言わずと知れた定番のパフォーマンス補助成分で、運動の1時間ぐらい前に飲むと、持久力、筋力、集中力などが上がったりするわけです。一方のメラトニンは、睡眠リズムを整えるホルモンとして知られていて、時差ボケ対策や入眠サポートに使われることが多いっすね。

 

どちらも定評のある成分なんで、そうなりますと、当然「前日の夜にメラトニンで睡眠を整え、翌朝にカフェインで気合いを入れたら、運動パフォーマンスはさらに上がるのでは?」って発想が出てくるわけです。メラトニンで寝て体を回復させ、起きたらカフェインで覚醒させれば、かなり効果が高いんじゃないかって考え方でして、いかにもあり得そうな感じがするわけです。

 

ということで、近ごろ、そんな問題を調べたランダム化クロスオーバー試験(R)が出てて、参考になりました。ここで対象になったのは、平均22歳の男性アスリート14人で、参加者に4つの条件を試してもらっております。

 

  1. 寝る前にプラセボ、翌朝にもプラセボ。つまり何も飲まないよ。
  2. 寝る前にメラトニン6mgを飲み、翌朝はプラセボ。
  3. 寝る前にプラセボ、翌朝にカフェインを体重1kgあたり3mg。
  4. 寝る前にメラトニン6mg、翌朝にカフェイン3mg/kg。

 

でもって、その翌朝、カフェインまたはプラセボを飲んでから1時間後に、繰り返しスプリントテストを行ったんだそうな。要するに、短時間で高強度の運動をくり返す、いわゆる無酸素系パフォーマンスを見たわけですね。

 

すると、その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • プラセボを2回飲んだ時と比べて、メラトニン単独、カフェイン単独、メラトニン+カフェインの3条件では、スプリントテストの成績が良くなっていた。つまり、「前日のメラトニン」または「当日のカフェイン」は、どちらも無酸素パフォーマンスを上げる可能性がある。
  • ただし、メラトニンとカフェインを組み合わせても、カフェイン単独より明らかに優れていたわけではなかった。つまり、「メラトニンで睡眠を整えて、カフェインで覚醒すれば最強!」とまでは言えないっぽい。
  • 睡眠についても、条件ごとの明確な差は見られなかった。メラトニンを飲んだからといって、測定上の睡眠がはっきり改善したわけではなかったようです。

 

みたいになります。この結果をどう見るかは、ちょっと慎重さが必要でして、まず参加者が14人しかいないんで、メラトニン+カフェインには効果があるけれど、サンプルサイズが小さすぎて見つけられなかった可能性はめっちゃありそうではあります。

 

なので、個人的には、この研究を実践に使うなら、まず優先すべきはカフェインの使い方だと思っております。朝〜昼の高強度トレーニングや試合前に、体重1kgあたり1〜3mgぐらいから試して、自分の反応を見るぐらいなら、効く人にはかなり効くはずであります(体に合わない人だと、たんに不安が増えて終わるかもですが)。また、メラトニンに関しては、今回の研究だけで「運動前日はメラトニンを飲もう!」とは言えないので、「睡眠に問題がある人が使う選択肢」ぐらいに考えたほうがよさそうっすね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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