夢や情熱を追っても「天職」が見つからない理由
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ビジネス書の世界では「夢を追って好きな仕事をしろ!」なんてことがよく言われますが、いま読んでるカル・ニューポートの本は「夢なんか追っても幸せにはなれんよ」と冷水をぶっかける内容で、かなり面白いです。
著者はジョージタウン大学のコンピュータサイエンス学者でして、数年前に以下のような研究をしたらしい。
数年前、私は単純な調査を行った。自分の仕事を「天職」だと考えている人たちに、彼らの人生についてインタビューをしたのだ。彼らが、どうやって自分の仕事へ情熱を持つようになったかを明らかにするのが目的だった。
その結果、面白いことがわかった。彼らの多くは、事前に「人生の目的」を決めていなかった。彼らが天職を得たのは、ほとんどが偶然の産物だったのだ。「夢を追いかけろ!」を信条にしている人たちにとっては衝撃的な結果だろう。
楽しんで仕事をしている人たちの大半は、夢を追いかけた結果として天職を得たわけじゃないんだ、と。
ここで引き合いに出されるのが、以下の有名なスピーチ。登壇者のマイク・ロウは、ディスカバリーチャンネルの「突撃!大人の職業体験」で、世界のキツい職業を紹介してる人です。
▼マイク・ロウ: Dirty Jobsから学んだこと
動物の死体回収業者のようなキツい仕事でも幸せに仕事をしている人たちを見て、マイク・ロウは「夢を追うなんてのは最悪のアドバイスだ」と言い切っております(笑)。
これはとても納得できる話で、ハーバード大のダニエル・ギルバートも「明日の幸せを科学する」のなかで「人間は自分の幸せを予測するのが超苦手だから、好きで選んだ仕事でも嫌気がさしちゃうことが多い」ってな指摘をしておりました。
で、「夢を追う」かわりに本書がオススメするのが「職人気質」であります。
仕事の幸福感を決めるのは、
- 自分の意志で行動できるかどうか
- 社会の役に立てるか
- 他人とのつながりを感じられるか
- スキルが向上する実感を得られるか
の4つだ。仕事の種類や内容は関係ないし、作業を楽しめることが重要なのでもない。社会に役立つ仕事を選び、つねにスキルを磨き続ける「職人気質」が幸福感を決めるのだ。
うーん、なるほど。自治性とか社会貢献を重要視するのは、現在のポジティブ心理学でも同じですからねぇ。 仕事選びの際は上の4条件を満たすかどうかで考えたほうがよさそう。
ちなみに、本書には「スティーブ・ジョブズも『夢を追え』とかスタンフォードの学生たちに言ってたけど、ジョブズだって別に夢を追ってAppleを作ったわけじゃないじゃん!」みたいなツッコミもあって楽しいです。興味がある方はご一読あれ。