抗酸化サプリはエクササイズの効果を打ち消す？
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「抗酸化サプリでエクササイズの効果が減るという話を聞いたんですが…」とのご質問をいただきました。ちょっと考えてみましょう。
抗酸化サプリで体がサボる？
おさらいしますと、抗酸化サプリは、細胞にダメージを与える活性酸素をとり除いてくれる成分。ビタミンC、ビタミンE、アスタキサンチン、レスベラトロールあたりが代表例で、いずれも老化や病気をふせぐ効果が高いと言われております。が、一方で、ここ数年は確かに「抗酸化サプリを使うとエクササイズの効果がなくなる！」ってデータがチラホラと出始めているんですな。
有名なのは、レスベラトロールとエクササイズの効果を調べた2014年の論文(1)。被験者はレスベラトロールを飲みつつ週3回のタバタ式トレーニングを実践しまして、その後で身体の変化を調べたところ、抗酸化サプリをとらなかったグループのほうが筋組織が発達していたとか。
もう１つは、ビタミンCとEに関する論文(2)。被験者に抗酸化サプリを飲みつつランニングをしてもらったところ、特に持久力には影響は出なかったものの、ミトコンドリア新生のスピードが下がった（＝体の代謝が悪くなった）とか。
こういった現象が起きるのは、トレーニングの負荷に体がなじもうとするのを、抗酸化サプリがジャマしちゃうかららしい。ざっくり言いますと、
- トレーニングで活性酸素が出る
- 身体が活性酸素に対抗しようとがんばる
- 抗酸化サプリで活性酸素をとり除く
- 身体ががんばらなくなる
- エクササイズの効果が無くなる！
って感じですね。抗酸化サプリのせいで、体がサボりはじめちゃうわけですね。
抗酸化サプリは一時的な運動能力を高める
ただし一方では、2012年の実験(3)では、「レスベラトロールで運動能力が上がったよ！」ってデータが出ているのが面白いところ。研究者いわく、レスベラトロールに持久力トレーニングと同じ効果があることがわかって、とても興奮しています。その効果はすぐに得られるもので、運動力を高めるクスリと言ってもいいように思います。
とのこと。なにやら、最初に紹介した論文と矛盾しているかのようですが、これは要するに「抗酸化サプリは短期的には運動能力を高めるが、長期的にはエクササイズのメリットを損なう」 ってことではないかと思います。自転車の補助輪を使うと最初は走りやすいけど、そればっか使ってると、いつまでたっても乗り方を覚えないようなものだとでも言いますか。
そんなわけで、抗酸化サプリとエクササイズの問題については、正直まだまだハッキリした結論が出せないのが正直なところ。とはいえ、レスベラトロールのアンチエンジング効果も捨てがたいので、ひとまずエクササイズの前後には飲まないって程度の対策はしておこうかなーと思う次第です。
credit: AlertDiver.eu via FindCC
