腰痛の原因は姿勢が悪いから!は科学的にはまったく証明されていない
https://yuchrszk.blogspot.com/2015/07/blog-post_4.html?m=0
「姿勢が悪いと腰痛が起きる!」などとよく言われます。整体やカイロプラクティクの世界ではもはや常識でして、猫背で腰痛持ちのわたしにとっては耳の痛い話です。
ほかにも、反り腰やらスウェイバックやらフラットバックやら、腰痛の原因とされる姿勢はいろいろありまして、お悩みの方も少なくないのではないかと。
が、いざ調べてみると、姿勢と腰痛の関係ってほとんど立証されてないんですよね。そりゃもうビックリするぐらい。今回は、そのへんの話をまとめてみたいと思います。
世間で言われる「腰痛の原因」はすべて否定されている
腰痛と姿勢の関係を調べた研究は山ほどありまして、その多くは、腰痛持ちと普通の人をあつめて骨盤や背骨などのX線写真をとり、実際の痛みとくらべてみる手法を取っております。有名なところをざっとならべてみますと、- 両足の長さのバランスと腰痛の関係を調べたが、左右の足の長さが違っても腰痛は起きていなかった(1984年,1)
- 321人の男性を調べたところ、背骨のねじれや足の長さは腰痛のレベルとは関係していなかった(1985年,2)
- 首のゆがみと首の痛みには、明確な関連性が見られなかった(2007年,3)
- 600人を対象にした調査では、腰骨のゆがみ、骨盤のかたむき、両足の長さのバランス、腹まわりの筋肉のバランスは、腰痛のレベルとは関係がなかった(2002年,4)
- 姿勢が悪い若者と姿勢が良い若者をくらべた調査では、大人になってからの腰痛の発症率には差がなかった(1985年,5)
- 悪い姿勢で働く仕事を調べた調査でも、姿勢と腰痛には明確な関連性が出なかった(2010年,6)
といったところ。猫背や反り腰、背骨のねじれ、骨盤のゆがみ、両足や筋肉のバランスなど、世間で言われる「腰痛の原因」がすべて否定されております。この結果は、1980年代から近年にいたるまでほぼ一貫してまして、どうにも「姿勢が悪いと腰痛が起きる!」説を信じるのは難しい感じ。
姿勢の悪さで腰痛が起きるのではなく、腰痛のせいで姿勢が悪くなる
では、腰痛の1番の原因はなにかといえば、以前にもくわしく書いたとおり「実は心の病である!」説がかなり有力であります。参考になるのが2008年の系統的レビュー(7)で、過去に出た「腰痛と姿勢」に関する研究54件をまとめたもの。ここでも「姿勢の悪さと痛みは関係なし」との結論で、実際は以下の要素がとても大きいんだとか(8)。
- 仕事への満足度
- 教育のレベル
- 日常的なストレス
- タバコへの依存
- エクササイズのレベル
あきらかに、ほぼストレスが原因になっております。つまり、姿勢が悪いから腰痛が起きるんじゃないくて、ストレスで腰痛が起きた人は姿勢が悪くなりがちなだけなんじゃないか、と。
まとめ
以上の話をまとめますと、- 猫背や反り腰、背骨のねじれ、骨盤のゆがみ、両足や筋肉のバランスは腰痛と関係がない
- 腰痛を引き起こす原因は、メンタルの要素がとても大きい
- 姿勢の悪さで腰痛が起きるのではなく、腰痛の人はメンタルが沈みがちなため姿勢が悪くなる
といったところ。 メンタルで痛みが起きる仕組みについては、「脳のパニックで腰痛が起きる仕組みと、その対処法」をご参照ください。
もちろん、これは「姿勢なんかどうでもいい!」って話じゃありません。筋トレでは正しいフォームが超大事だし、なにより姿勢が良いと見た目が大きく違いますしね。
ただ、あくまでデータでは姿勢と腰痛の関係は認められてないんで、必要以上に「腰が痛いから姿勢を治さなきゃ…」とか悩むのは時間のムダ。まずはストレスの原因を特定していくのが先決かと思います。
2015.7.5追記:続きのエントリを書きました。
「腰痛を治すのに良い姿勢を心がけるのは時間のムダ!それでは、代わりにどこに注意すべきか?」