脳のパニックで腰痛が起きる仕組みと、その対処法
以前に「腰痛は心の病だ!」 って話を書いたところ、「この痛みは完全に妄想ってことですか?」とのご質問をチラホラといただきましたので、そのへんの話を。
腰の痛みは脳のパニックで起きる
で、結論から言えば、腰痛の痛みは間違いなく現実です。ただし、その原因が心理的なところにあるってのがポイントであります。
このあたりの仕組みを初めて世に広めたのがジョン・サーノ博士でして、くわしい話が気になる方は「心はなぜ腰痛を選ぶのか」をどうぞ。その理屈をざっくりと書いてみますと、
- ストレスが増加する
- 脳がパニックを起こす
- 脳がストレスから目をそらそうとする
- 脳が腰や肩への酸素供給を減らす
- 痛みや不快感が起きる!
って感じ。つまり、腰痛や肩こりとは、メンタルの問題から気をそらそうとして、脳がカラダの痛みを作り出した状態なわけですね。
ここでのポイントは、すべてのストレスが腰痛につながるわけじゃなくて、あくまで慢性的なストレスが問題なところ。
かつての人類は「トラが襲ってきた!」や「食事が足りない!」といった一時的なストレスだけを処理していたのが、現代では「会社が最悪だ…」とか「モテない…」といった解決しづらい悩みに対処せねばならず、困り果てた脳が「このストレスはなかったことにしよう!」として、メンタルの問題をカラダの痛みに変換しちゃうんですね。
結局はストレスを解決しないと腰痛は治りづらい
そんなわけで、痛みの原因は酸素不足なので、マッサージ・鍼灸・カイロプラクティクなどで血流を良くしてあげれば、一時的には痛みがやわらぐのは間違いないところ。ただし、それだと大本のストレスが解消していないので、痛みがぶり返す可能性は非常に高いんですな。
いっぽうで、脳のパニックをおさめるために使われるのが、わたしも使っていた「リリカ」や麻酔による神経ブロックなどのテクニックであります。これらのテクニックには、一時的に痛みと脳を切り離す作用がありまして、少しずつ脳が「そんなに慌てなくていいんだ…」と学んでいく仕組みになっております。
ただ、以上の手段は、いずれも「本当に効くんだ!」と信じてないと、なかなか効果が出にくいって難点もあったりします。宗教みたいな話ですが、実際に「『心はなぜ腰痛を選ぶのか』を読んだら腰痛が治った!」なんて症例もけっこうあるようで、とにかく信じこむのが大事。
とはいえ、やはり大本の原因が解決してないことに代わりはないので、長期的には自分のストレスをつきとめたうえで、ガッツリと解決していくしかないかなーとは思います。もっとも、作家の夏樹静子さんを襲った腰痛みたいに、「作家としての自分と現実の自分の乖離」みたいな実存的なストレスが引き金で激痛が起きちゃうこともありまして、原因の特定が難しいケースもありそうですが。
ストレスにフタをしすぎて自分でも原因がわからなくなっちゃった場合は、ひとまずマインドフルネス瞑想などで「腰痛の痛みを瞑想の対象にしてみる」なんてのもアリ。個人的にも、痛みを感じるたびに今も使っている方法であります。
credit:Samantha Evans Photography