がんや腸内の解毒に効きまくると噂の「コーヒーエネマ」に効果はあるのか?
コーヒーエネマに関するご質問をいただきました。
マックス・ガーソン博士が発案し日本の新谷弘実博士も推奨しているコーヒーエネマについてはどう思われますか?
とのこと。コーヒーエネマは、肛門からコーヒーを入れて、腸内を洗浄する代替医療の一種であります。個人的には、唐沢なをき氏の「けんこう仮面」に出てた健康法としてなじみ深かったり。
で、結論から言えば、コーヒーエネマはまったくオススメできません。というのも、数ある代替医療のなかでも、かなり深刻な事故が多い健康法なんですよ。たとえば、
- コーヒーエネマによって血液中に病原体が入り込み、全身に炎症反応が起きた(1984年,1)
- 直腸にコーヒーを流したことで、腸に穴が開いてしまった(2012年,2)
- コーヒーエネマを行った患者に電解質異常がみられた(1982年,3)
- コーヒーエネマによる死亡例も数件報告されている(1980年,4)
などなど。いずれもレアケースではあるものの、かなりヤバいことになってますねぇ。実際、アメリカ食品医薬品局も、実験でコーヒーエネマを使うときは「死の危険があるよ!」と通告するように指示しております(5)。
また、新谷博士の説明によれば、
重要なことは、便としての食物残渣(ざんさ)を腐敗発酵する前にコーヒーエネマで体外に排出することです。
って話なんですけども、そもそもこの理屈が謎だったりします。以前に「宿便は都市伝説」って話でも書いたとおり、腸内の粘膜はガンガンに入れ替わっているので、便が腐るまでこびりつくことはないんですよ。
さらに、発案者のガーソンさんは「悪性腫瘍にも効く!」や「肝臓にも効く!」とおっしゃってますが、その主張を裏付けるデータが出てきてないのが現状であります(5,6)。
まぁ確かにコーヒーが肝臓にいいってデータは多いので(7)、もしかしたらコーヒーエネマにも効果はあるのかもですが、死のリスクを冒すぐらいなら普通に口から飲めばいいんじゃないか、と。そのほか、肝臓への効果が認められたサプリも多いんで、そちらのほうをオススメしておきます。
結論としては「コーヒーは飲むもの!尻から入れるものにあらず!」ということで(笑)