パレオダイエットや糖質制限でお腹の調子が悪化しちゃったときはどうすればいいの?
ちょっと前に、糖質を減らした直後に起きる「低糖質風邪」について書きましたが、もうひとつ食生活の変化にともなって起こりがちなのが「消化機能」の変化。パレオダイエットや糖質制限を始めたあとに便秘や下痢になったり、吐き気やお腹にガスが発生したりといったケースが結構あるんですね。
これは全員に起きる現象ではなく、その人のいままでの食生活に左右されます。具体的なところを見ていきましょう。
腸内細菌が食物繊維に慣れるまでは時間がかかる
まず一番大事なのが腸内細菌。食生活によって腸内細菌の質は大きく変わりまして、近ごろはファストフードの食べ過ぎで腸内がデブ菌だらけになる可能性も指摘されております。
腸内細菌は食物繊維を食べて増えるため、いままで野菜を食べてこなかった人ほど腸内環境は悪化している可能性が大。その状態から急にパレオダイエットに変えると、いきなりエサが増えたせいで腸内細菌がびっくりしちゃいまして、さまざまな症状を引き起こすことになります。特にFODMAP系の食物繊維は消化されにくいので、激しい下痢に襲われたりするはず。
腸内細菌が新しい食事に慣れるまでの時間には個人差が大きいですが、しばらくすれば必ず適応していきますんで、一時的なお腹の不調にはめげないのが重要であります。
消化酵素も新しい食事に慣れるまで時間がかかる
もうひとつ大事なのが消化酵素。こちらも腸内細菌と同じく適応まで時間がかかるんですね。
実際、ヒトの消化酵素は食生活によって大きく変わりまして、たとえばベジタリアンの方はタンパク質を分解する酵素が少ないことがわかっております(1) 。ベジタリアンの方が肉を食べて気分が悪くなったりするのは、消化酵素が対応してないからなんですね。
そんなわけで、いままでタンパク質の摂取量が少なかった方がパレオダイエットを始めると、うまく食事を消化できずに吐き気や便秘などの症状を起こしがち。これまた適応までは個人差がありますんで、めげずに頑張っていただきたいところであります。
腸内細菌と消化酵素が適応するまでどうすればいいの?
というわけで、いままで大量のパンやパスタばかりを食べてきた方は、パレオダイエットを始めると体が慣れるまで結構な時間がかかりがち。それまでに取れる対策としては、
- FODMAP系の野菜は少しずつ増やす:FODMAPは消化が難しい食物繊維の総称。キャベツやタマネギ、大豆、リンゴなどにふくまれるオリゴ糖やイヌリンは、善玉菌が適応するまでは腸内に傷をつける可能性が大であります。「壊れた腸を徹底的に癒やして健康になるための『FODMAP』食事法」でリストアップした食品は、少しずつ量を増やしていきましょう。
- プロバイオティクスを使う:適応期にプロバイオティクスが効くことを示したデータはないんですが、おそらくは飲んでおいて損はないはず。ビオスリーやProbiotic-3などがおすすめ。
- 便秘が起きたらコーヒーかプーアル茶を飲む:コーヒーには便通を良くする作用がありまして、昔からお通じ対策に使われてきた飲み物。便秘が起きたら使ってみるとよさげですが、ストレスホルモンの分泌をうながす作用も強いので注意しましょう。また、プーアル茶にも適度な便通改善の効果があるんで、カフェインが苦手な方はこちらをどうぞ。
- 乳製品はひかえる:乳製品の耐性が弱い方は、ヨーグルトや牛乳で激しい便秘を起こす可能性があり(2)。慣れるまでは腸内環境の悪化を起こす可能性が高い食品なので、ひかえたほうが良いでしょう。
- 下痢が起きたらフルーツをひかえる:果糖は下痢を起こしやすい性質がありまして、お腹を壊したときは1日にこぶし1個分ぐらいの量にとどめておくのが吉。特にドライフルーツは果糖が凝縮されてますんで、ご注意ください。
といったところ。とにかくお腹に異変を感じたら、少しずつ食生活を変えていくのが大事かと思います。明確な期間は言いづらいものの、たいていの人は2〜3週間もすれば腸内と酵素が適応していくはずなんで。あわてずに少しずつ進めていただければと思います。