少しのフルーツでも急激に腹が痛くなる「フルクトース吸収不全」とは?
果糖の摂り過ぎが体に悪いのは有名ですが、いっぽうではフルーツが体に良いってデータも山ほどあったり。カロリーオーバーにならない限りは、フルーツの摂取量を心配する必要はないと考えております。
ただし、いっぽうでは少しの果糖でダメージを受けちゃう人もいるのが難しいところ。俗に「フルクトース吸収不全」と呼ばれてまして、ちょっとフルーツを食べただけでお腹に激痛が入ったりするんですな。
いろんな方の相談を受けてると、意外とフルクトース吸収不全の方は多いような気がしますんで、ちょっとまとめておきます。
そもそもフルクトース吸収不全ってなに?
ご存じのとおり、フルーツにふくまれる果糖(フルクトース)は、小腸で吸収されてから肝臓に運ばれます。
このとき、健康な人なら一度に50gの果糖を吸収できるんですが、フルクトース吸収不全だと小腸がうまく働かず、多くても25gぐらいしか処理できないんですね。人によっては5gしか受け付けないケースもありまして(1)、こうなるとリンゴを半分も食べれない計算であります。
果糖が小腸に残ったままだと、以下の現象が起こります。
- 激しい下痢:果糖には水分を引き寄せる作用がありまして、便を柔らかくするんですね。逆に便秘のときはドライフルーツが効いたりします。
- 激しいガス:果糖は細菌のエサになり、腸内で発酵してガスを起こすんですな。そのせいで、フルーツを食べて腹がパンパンになることも。
こういった流れで、フルーツが極度の腹痛を起こすわけです。もしフルーツや果糖ぶどう糖液糖で胃腸がおかしくなったら、フルクトース吸収不全の可能性は高いと申せましょう。
フルクトース吸収不全だったらどうする?
いまのところフルクトース吸収不全の割合はわかってないものの、2007年のレビューによれば珍しい現象ではないとのこと(2)。もともと腸が悪い人ほど併発しやすいそうで、心当たりがある方は気をつけたいところです。
フルクトース吸収不全の対策としては、
- 果糖の量が少ないものを食べる
- グルコースと一緒に果糖を摂る(果糖の吸収率が上がる)
の2つが代表的。具体的に避けたいものとしては、
- リンゴ
- メロン
- マンゴー
- パパイヤ
- 梨
- チェリー
- ぶどう
- ライチ
- スイカ
- ハチミツ
- 果糖ぶどう糖液糖
- コーンシロップ
- フルーツジュース
- ココナッツミルク
- ドライフルーツ
- シェリー酒
- ポートワイン
といったところです(3) 。逆にOKなフルーツは、
- ベリー系全般(ブルーベリー、イチゴなど)
- シトラス系全般(グレープフルーツ、レモン、オレンジなど)
などなど。果糖が少ないものであれば、特に問題は起きないはず。
まとめ
いろいろ書いてきましたけど、フルクトース吸収不全は腸そのものの問題なんで、治すのが難しい話ではあります。実際のところ、激しい下痢や腹痛のほかは体に深刻なダメージを起こすわけでもないんで、まずは自分の体が処理できる果糖の量を見極めていただければよいかと。