二日酔いサプリ「SUPALIV(スパリブ)」の効果を調べてガッカリするなど
「SUPALIV(スパリブ)って効くんですか?」ってご質問をいただいたんですよ。初耳だったんですが、酒飲みの間で流行りのサプリなんですってね。
確かにビタミンCはアルコールによって不足するが…
さっそく公式サイトを読んでみたところ、アルコール代謝をサポートする成分と、アセトアルデヒドを中和する成分をふくみ、二日酔いを防止してくれるんだとか。ちゃんと臨床試験もして特許も取ったそうで、なかなか期待を持たせてくれます。
続いて成分をチェックしてみると、
- ビタミンC 1g
- L-グルタミン酸1.5g
- システイン500mg
- リボフラビン40mg
- コハク酸100mg
- フマル酸100mg
- ナイアシン10mg
- コエンザイムQ10 100mg
といった感じ。ほぼビタミンCとグルタミン酸がメインですねー。特に目新しいものは入っておりません。
で、確かにビタミンCやグルタミン酸、ビタミンB群は、アルコールによって不足ちがちな栄養素(1,2,3)。サプリで補給するのは悪いことじゃないんですが、それが二日酔いに効くかどうかは別の話なんですよね。
科学の結論は「二日酔いに効く方法はない」
ここで、2005年の系統的レビュー(1)を見てみましょう。過去に行われた296件の飲酒実験をまとめて大きな結論を出した研究で、二日酔いのデータとしては、現時点でもっとも科学的に信頼できる内容になっております。もちろんスパリブに入っている成分もチェックしてるんで、かなり参考になるはず。
その結論をざっくり抜き出すと、
今回の研究により、二日酔いに効く方法はないことがわかった。いまのところ、どんな伝統的なテクニックや民間に伝わる二日酔い対策にも、科学的な証拠は存在していない。
これからの二日酔い研究は、アルコールによる生物学的な変化をくわしく調べるべきだろう。もっと二日酔いの仕組みがわからないと、効果的な対策が生まれるとは思えない。
といった感じ。ちゃんと効果が確認された方法は存在しないし、だいたい二日酔いのメカニズムがちゃんとわかってないのに対策も何もないんじゃない?って話であります。というか論文を見てると、そもそも二日酔いの研究にはズサンな実験が多いみたい。
スパリブの実証研究はデザインが切ない
続いて、スパリブが行った実証研究を、特許の内容からチェックしてみました(2)。そこでわかったのが、
- ほとんどマウス実験ばっかり:5つの実験例のうち3つはマウスを使ったものでした。
- ヒト実験のサンプルが少なすぎ:男性2人、女性2人しか実験に参加してない。
- 二日酔いになるまで飲ませてない:度数12.5%のワインを400ml飲ませて、血中エタノールを計っただけ。
というもの。うーん、これは切ない。2005年の系統的レビューの基準だと、序盤で「デザインがダメ!」として弾かれちゃうレベルだと思われます。この実験で「二日酔いに効くことがわかった!」と言い切るのは凄い勇気。
まとめ
そんなわけで以上の話をまとめると、
- スパリブの成分はいたって普通
- 現時点では科学が認めた二日酔い対策はない
- スパリブの実証研究は参考にならない
といったところです。ネットを見てると「スパリブが効いた!」って声も多いようですけど、
- ただの思いこみ
- もともとビタミン不足だった
のどちらかではないかと。もとから栄養不足だった場合は、もしかしたらスパリブの栄養補給で二日酔いが軽くなる可能性はあるかもしれません。ただし、その場合でもスパリブは成分量に対して値段が高すぎなんで、普通にマルチビタミンとかを飲んだほうが良いと思いますねぇ。