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裸足ランニング用シューズ「ビブラムファイブフィンガーズ」って本当にいいの?

FiveFingers

 

ビブラムファイブフィンガーズっていいの?

5本指シューズに関するご質問をいただきました。

 

最近、トレーニング、健康オタ仲間が五本指靴にはまってます

ビブラムファイブフィンガーズとうい商品です

私はあまり積極的にはなってませんが、どうやらトレーニングで成果を出しているようです。

パレオさんのお考えを乗せていただけると嬉しいです。 どうぞよろしくお願いします

 

ビブラムファイブフィンガーズ は、地下足袋みたいにつま先が足の指型にわかれたシューズのこと。こんなやつです。

 

もともとは「BORN TO RUN」が世界的に売れたおかげで裸足ランニングブームが起きまして、できるだけ素足の感覚に近づけたシューズが出はじめたんですね。なかでもビブラムはトップブランドで、一時期は海外のパレオダイエットサイトでもよく見かけたもんです。

 



 

 

ビブラムと普通のシューズをくらべたら…

で、私がどう思ってるかと言うと、「おもしろいガジェットなんだけど取り扱いが超難しそう」って感じです。というのも、「裸足ランニングシューズは危険!」ってデータも意外と多いもんですから。

 

 

なかでも有名なのは2013年の実験で、ブリガムヤング大学が36人のアマチュアランナーを対象にしたもの(1)。参加者を以下の2グループにわけたんですね。

 

  1. 普通のランニングシューズで走る
  2. ビブラムファイブフィンガーズで、少しずつつ足を慣らしながら走る

 

実験期間は10週間。いきなり不慣れなシューズを使うのは危険なので、ビブラムグループは1〜2週間ごとに走行距離を1.5キロずつ長くしていったみたい。

 

 

ビブラムのほうが足のダメージが大きかった

そのうえで、全員の足をMRIで撮影したところ、

 

  • ビブラムグループは骨髄の腫れがヒドかった!

 

って結果だったんですね。裸足シューズを使ったほうが、足の炎症やケガのレベルが高かったわけですな。

 

 

研究者いわく、

 

骨の負傷リスクを最小限にするために、ビブラムを使うランナーは、週に3〜4キロぐらいの少ない距離からスタートし、10週間以上をかけて足を慣らしていくべきだ。

 

とのこと。裸足ランニングに慣れるまでには、かなりの時間が必要ではないのか、と。

 

 

ビブラムで痛みが増した

もうひとつ、2014年の実験(2)も見てみましょう。こちらは103人のアマチュアランナーが対象で、

 

  • Nikeペガサス=昔ながらのランニングシューズ
  • Nikeフリー=素足感が強い新作シューズ
  • ビブラムファイブフィンガーズ

 

の3種類を履いてもらい、12週間ほどランニングをしてもらったんですね。その結果は、

 

  • もっともケガが少なかったのはNikeペガサス
  • ビブラムはスネとふくらはぎの痛みの報告が多かった

 

みたいな感じでして、これまたビブラムに不利な結果になっております。

 

 

 

ビブラムを正しく使うにはかなりの慣れが必要

といっても、これは「ビブラムは危険!」って話ではありません。名著「人体六〇〇万年史」のダニエル・リーバーマンが2009年に行った研究(2)だと、裸足ランニングに適した走法ってまったく違うんですよね。

 

 

以下、論文の写真をどうぞ。

 

スクリーンショット 2017 01 31 9 28 21

普通のシューズが「かかと着地」なのに対し、裸足ランニングは足裏の前方で着地する「フォアフット・ストライク」が基本。この走法を使った場合は、骨や腱への衝撃が大きく減ることがわかってるんですね。

 

 

実際、「ビブラムでケガが減ったよ!」って研究もあるんですけど(4,5)、いずれも裸足ランニングに慣れた人だけを対象にしてたりします。やっぱそうですよねー。

 

  

まとめ

では、以上の話をざっくりまとめると、

 

  • ビブラムファイブフィンガーズに気軽に手を出すのは危険
  • ビブラムに切り替えたい場合は、まずはフォアフット・ストライクをマスターすべし

 

って感じです。なにせ高い買い物ですから、以上のポイントをふまえた上で購入していただければと思います。近ごろは「ランニング足袋」っていうもっと安価な商品も出てますんで、こっちから試すのもよさげです。

 

 

ちなみに、私はテスラの薄底シューズを使っております。これで結構山の中を歩いたりしましたが、いまだにヘタっておりません。2,980円でこの耐久性は十分にアリじゃないかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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