時間がない!と思ったら逆に他人のために時間を使ってみるという心理トリック
時間に追われる感覚を減らすには?
「時間に追われずに済む方法!」ってWSJの記事(1)がいい感じでありました。
このネタ元は2012年の論文(1)で、「時間の感覚の変え方」について研究したもの。簡単な内容は当ブログでも2014年に紹介してるんですけど、ここでは論文の著者がさらに具体的なポイントを教えてくれております。
そもそも論文の要点をざっくりおさらいしますと、
- 自分よりも他人のために時間を使うと、なぜか時間に追われる感覚が減る!
といったところ。他人のために余分な時間を割いたほうが、実は時間へのプレッシャーが減るんだそうな。おもしろいですねぇ。
他人のために時間を使うと主観的な時間が倍になる
具体的には150人の男女を集めて、以下の2グループにわけたんですね。
- 自分のためにやろうとしてたことをやる:マニキュアを塗ったり、軽くランニングしたり、読書でリラックスしたり、ToDoリストのタスクを消化したり、など。
- 人のためになることをやる:隣人のポーチに積もった雪を掃除したり、妻のために料理をしたり、公園のゴミをひろったり、独りで暮らす祖母に手紙を書いたり、など。
すると、他人のために動いたグループのほうが、自分のことをしたグループよりも「主観的な未来の時間」が2倍も長くなったらしい。
時間の見方が変わるだけで十分
要するに、
- 自分のことに時間を使う=「ああ!今日はもう時間が足りない!」って気分になる
- 他人のために時間を使う=「まだまだ今日は時間があるなぁ」って気分になる
って感じです。もちろん絶対的な時間は増えてないものの、現代人の「忙しさ」は主観的な感覚によるところが大きいんで、時間の見方が変わるのは非常によいことなんですよね。
他者のために使う時間は「自己効力感」を増す
こういった現象が起きる理由として、研究者は「自己効力感が上がるからじゃない?」って説を唱えております。
あまった時間にマッサージを受けるのは、間違いなくいいことだ。しかし、それでは「自分は何かをなしとげられる」という感覚を増すことはできない。
もちろん、ToDoリストのタスクを1つか2つこなせば達成感は得られるかもしれない。ところが、そのせいでリストにはまだ31個のタスクが残っている事実を思い出してしまうだろう。
いっぽうで他人を助ける行為には、特有の確かな手応えがある。この感覚が、十分な時間がないというストレスを減らしてくれるのだ。
ってことで、他人が喜ぶことをすると「俺はできるんだ!」って感覚が高まり、結果として主観的な時間に余裕ができるんだ、と。わかる気がしますねぇ。
まとめ
そんなわけで、いつも「時間が足りない!」とお嘆きの方は、毎日のタスクに「他人のためになること」をひとつ加えてみるといいかも。ただし過去のデータでは、「親切が義務感になると効果が消えちゃう」って知見もありますんで、
- 毎朝コイン投げをする
- 表が出た日は他人のためになることをする
って感じでランダム化してみるのもよさげです。一日一善とは言わないまでも、そちらのほうが日々のストレスは減りそう。