ビタミンEにできること、できないこと
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こないだビタミンCの実力をまとめたら意外と評判がよかったんで、今回はビタミンEについて。
ビタミンEは主に抗酸化の効果が有名で、ネットでは「若返りが期待できる!」とか「血液サラサラに!」とか言われるケースが多め。世間的には定番サプリのひとつかと思われますが、実際はどんなもんでしょ。
ビタミンEで死亡率があがる?問題
いきなりネガティブな話で恐縮ですけど、「ビタミンEを飲むと死亡率があがるんじゃない?」って話は昔から多いんですよ。もっとも信頼性が高いのは2005年のメタ分析(1)で、19件のデータをまとめたところ、
- 1日400IU以上のビタミンEを飲み続けると、半年でやや死亡率がアップする!
って結果だったそうな。「やや」ってのは、具体的に言うとプラシーボにくらべて34/10,000人ほど死者が増える感じであります。
もっとも、この研究では心疾患リスクの高い人だけを対象にした研究がメインなんで、健康な人でも同じようなダメージがあるのかは不明ではあります。
ただし、その他の研究でも、1日600IUのビタミンEはまったく無意味だったとか(2)、1日400IUで心臓病の発症率があがったとか(3)、全体的にはかんばしくない結果が多めだったり。怖いですねぇ。
なので、個人的にはビタミンEサプリはまったくオススメしておりません。どうしても飲みたいときは、1日400IUを超えないようにお気をつけください。
ビタミンEはアンチエイジングに効くの?問題
ビタミンEといえば抗酸化作用。うまく活性酸素を減らせるならアンチエイジングにも役立ちそうですが、データをみる限りは「人によってはいいかも…」みたいな印象であります。具体的には、
- 38人のアスリートを対象に800IUのビタミンEを飲んでもらったら、90分で脂肪の酸化が減った(2005年,4)
- 肥満の男女55人に500mgのビタミンEを飲んでもらったら体内の酸化レベルが減った(2007年,5)
- 35人の男女に1日1600〜3200IUのビタミンEを6カ月飲んでもらったら、高コレステロール血症の人のみ酸化マーカーが減少した(2007年,6)
みたいな感じ。要するに、
- アスリートとか肥満体のような体内の酸化ストレスが多い場合は効果を発揮する
- しかし、酸化レベルが普通の一般人だと意味がない可能性が高い
といった傾向がありそうなんですよね。個人的には、やっぱ抗酸化目的でビタミンEサプリを飲むのはリスクが高いように思いますねー。
ビタミンEで血液サラサラになるの?問題
ビタミンEとえいば、もうひとつ「血液サラサラ効果」もよく聞くところ。これまた難しいところでして、- 肥満気味な63人の男女に1800IUのビタミンEを飲んでもらったら、半年で血流の向上がみられた。総コレステロール値も下がっていた(2005年,7)
- 糖尿病の男女69人に1800IUのビタミンEを半年飲んでもらったが、特になんの改善もみられなかった(1999年,8)
みたいな感じなんですよね。実験によって真逆の結果が出てまして、どうにも判断しかねるんですな。
もっとも、LDL(悪玉)コレステロールについてはハッキリした傾向がありまして、
- 肥満気味な222人の男女に800IUのビタミンEを飲んでもらったがコレステロールには変化がなかった(2010年,9)
- 高齢の男女88人に800IUのビタミンEを半年飲んでもらったが、特になんの改善もみられなかった(1998年,10)
質の高い実験ではいずれも変化が出ておりません。LDLコレステロールには無力だと考えたほうがよさそうっすね。
ビタミンEで体重は減るの?問題
一部にはビタミンEで体重が減るなんて話もありますけど、こちらはほぼデマかと思われます。ビタミンEのダイエット効果を調べた研究は意外と多いものの、- 健康な男女を対象にした実験でも効果なし(14)
とのことで一貫して否定的な結果が出てたりします。うーん、残念。
その他、ビタミンEで効果がなさそうなもの
このほかにもビタミンEに関する都市伝説がありますんで、以下に「効果がない」ものをまとめときます。▼テストステロンの上昇
- 肥満気味な36人の男女に300mgのビタミンEを飲んでもらったが、テストステロンへの影響はなし(1992年,17)
▼髪が生える
- 35人の男女に200mgのビタミンEを飲んでもらったところ、男性型脱毛症のスピードが少し弱まった。しかし、あくまで統計的に差が出たってだけで、実用性があるかは疑わしいレベル(2010年,18)