「タンパク質は1回30gまで」は間違い? タンパク質は摂れば摂るほど筋肉にいいのかもよ説
タンパク質は1食あたり20〜30gが上限?
筋トレの世界では、「プロテインは摂りすぎても無意味だよ!」ってフレーズが出てきます。だいたい1回に20〜30gぐらいが最適量で、それ以上を摂っても筋肉には反映されないんだ、と。
このアイデアはタンパク質の合成量を調べた実験にもとづいてまして、当ブログでも過去に関連するデータを紹介しております。ざっくり言えば、いちおうプロテインを飲むほどにタンパク質の合成量は増えるんだけど、その効果はどんどん先細りしていくって話でした。
タンパク質の全体的な収支はどうなの?
ただし従来のデータで問題だったのが、「タンパク質のネットバランス」をあんま調べてこなかったところです。
ネットバランスってのは、タンパク質の合成量から分解量を引いた数字のこと。収入から支出を引いたら所得が残るのと似たイメージですね。
なので、いくらタンパク質の合成量(収入)が増えても、同時に分解量(支出)も多かったら筋肉は増えなくなっちゃう。つまり、いままでの研究はおもに収入だけに着目してたんで、総所得がわかりにくかったんですよ。
40gと70gのタンパク質をくらべた
ってことでおもしろいのが、アーカンソー大学が行った実験(1)であります。23人の男女を対象にした研究で、以下の4グループにわけたんだそうな。
- 筋トレのあとで40gのタンパク質を摂る
- 筋トレのあとで70gのタンパク質を摂る
- 休憩のあとで40gのタンパク質を摂る
- 休憩のあとで70gのタンパク質を摂る
筋トレの内容は1RMの80%で10回✕3セット。ベンチプレス、レッププレス、レッグエクステンションといった定番メニューをこなしたみたい。
また、タンパク源はプロテインパウダーじゃなくて、脂身が少ない牛肉を使ったらしい。このへんもちょっとユニークですな。
70gのタンパク質でネットバランスが65%アップ!
で、そのあとで全員のネットバランスを計ったらこんな感じになりました。
つまり、ここからなにがわかるかといいますと、
- 運動をしたかどうかは、ネットバランスとは関係がない
- 40gより70gのタンパク質を摂ったほうが、65%もネットバランスが増える
- 大量のタンパク質を食べてもタンパク質の合成は増えないが、タンパク質の分解量が66%も減る。そのおかげで最終的な収支がよくなっている。
って感じ。追加のタンパク質で収入は増えないんだけど、支出を抑える効果のおかげで全体の所得があがったわけですな。要するに、タンパク質は摂れば摂るほど筋肉によいのではないか、と。
まとめ
まぁこれは食後の変化をみただけなので、「プロテインは1回に20〜30gまで!」って説が崩れたわけじゃございません。また、ここでは牛肉をタンパク源にしているので、プロテインパウダーを使った場合の反応も謎。このあたりは今後の研究に期待したいところです。
しかし、どうも近年では「タンパク質はもっと摂ったほうがいいよー」って流れなんで、一気に70gぐらい摂って変化をみてみるのもアリでしょうね。どうぞよしなに。